第155回
分割上場・TCL通訊科技の今後を占う

TCL集団の傘下には、
香港に上場するTCL国際(1070)があります。
中国株投資家の皆さんには、
こちらのほうが馴染みがあるかもしれません。
優良銘柄の一つで、
日本の投資家の皆さんからの注目も高い
銘柄の一つです。

TCL集団がスピンオフして
香港に分割上場する予定の
移動体通信機器事業としてのTCL移動については、
TCL国際も出資している形態になっています。
だから、このスピンオフは若干複雑です。

概要としては、TCL集団は、
TCL移動を含む
移動体通信機器事業をスピンオフして、
TCL通訊科技を設立、
これを上場させるというものです。

これに伴って、TCL通訊科技の直接の親会社を、
税金対策のために
英領バージン諸島に登記している会社などに
設定するなどの変更が行なわれたのが、
今年8月初めでした。

中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)が
中国国内の上場企業が
海外市場に分割上場するための7つの条件を発表、
TCL集団のスピンオフ計画も
頓挫する可能性が指摘されましたが、
TCL集団ではこれをクリア、
8月17日、TCL通訊科技の設立が、
そのCSRCによって認可されました。

8月18日には、TCL国際が
TCL通訊科技の株式を
現物で分配する形で
株主配当を行なうことを発表しています。

TCL国際の株式100株につき、
TCL通訊科技の株式42株を与えるというものです。
ただし、9月10日時点の最新報道でも、
TCL通訊科技の上場時期については
まだ未定ということになっています。

TCL通訊科技が有望かどうか、
一番気になるところですが、
現在のところ、押さえておくべきは、
以下の通りになります。

1.携帯電話の中国メーカーの中で、
 TCLブランドはすでに中国市場第2位に
 位置付けています。

2.第1位の中国普天集団系の波導(バード)ブランドは
 若干下滑り傾向にあるのに対して、
 TCLは元気だ、という評判を聞きます。

3.ただし、中国の携帯電話市場では、
 ノキア、モトローラ、サムスンが依然として強力で、
 大きなシェアを確保しています。

4.中国メーカーは現在までに総じて
 外資に押され気味で、
 昨年獲得したシェアは今年になって
 減少させつつあります。

5.聯想(レノボ)が携帯電話事業を本格化、
 強力なライバルになることが予想されています。

6.中国の携帯市場は、全体として、供給過剰で、
 第3世代(3G)携帯電話などの材料がなければ、
 消費ニーズに比べて、
 生産能力が強まる傾向が続きそうです。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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