第38回
呼吸運動は気をつくり、肺腎を整え代謝を促します

中医学では呼吸運動も
大事なことと考えています。
それは生命活動が必要とするエネルギー
「気」に繋がると考えるからです。

まず、呼吸は気の生成に大切なものです。
中医学でいう「気」は三つの源流から併せて生成されます。
一つ目は生殖で親からもらえた先天の精気です。
二つ目は飲食で摂食された水穀の精気です。
三つ目は呼吸で吸収された自然界の清気です。

水穀精気と呼吸清気は
後天の気を組み立てます。
そしてこの先天の気と後天の気を併せたものが、
普段私達がよく言っている「元気」です。
元気が充足すればするほど、
体内の各臓腑・組織の働きは順調になり、
体の健康が保たれて病気を受け付けにくくなります。

また、自然界の清気が体の中に吸収されることは、
肺と腎の二つの臓器が協調して働いた結果です。
肺は呼吸を主に司っていますが、
もっと細かく言うと、肺は呼気を、
腎は納気(吸気)を司ります。
ですから、呼吸を整えれば
肺と腎との協調を増進させると思います。

さらに、呼吸運動は
体内における気の運行の調節を司ります。
気の運行には「昇、降、出、入」と四つの動きがあり、
全て呼吸でコントロールします。
精気を体の各臓器・組織へ送っていくことを「昇」
廃棄した濁気を排出器官へ送っていくことを「降」
古い気を体外へ出すことを「出」
新たな気を体内へ吸収することを「入」といいます。
簡単に言うと、
これら四つの気の運行は気の新陳代謝であり、
呼吸を一回することは
気の新陳代謝を一回行うことになります。

太極導引では、
このような中医理論の指導に基づいて
気の生成の促進、肺腎機能の協調、
体内における気の新陳代謝の調節などを図るために
呼吸導引を行います。


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