第42回
『流れる水のように』が太極導引の動きの目標

人の動きは体質状態、
健康状態などによってそれぞれ違います。
そのため太極導引の運動には、
複雑な動作の動きがあるにもかかわらず、
肢体に統一要求される条件がありません。
これは太極導引のもう一つの特徴です。

太極導引の動きが追求する目標は
「流れている水のよう」であります。
そしてこの目標には二つの意味が含まれています。

一つは、太極導引の動きにより、
肢体が正常に動く機能を維持し、
運動神経と筋肉、関節の協調性が
うまくとれるようになることです。

人間は動物に属していますから
関節や筋肉などを運動器官として使わなければ、
その機能は段々に弱っていくので、
機能維持のためにも常に動かす方が良く、
それが導引の基となります。
「流水は腐らず」という健康を守る考え方が目標になります。
ですから短期間の内に筋力が強くなることや
体が柔らかくなることが練習目標ではありません。

もう一つは、太極導引の練習では
動作の開始から終了までの間に
止まることなく水が流れるように
肢体を動かすことが必要になることです。

このような練習は、
さらに運動器官の機能増強や関節、
筋肉の間の協調性及び
脳・神経・運動器官の間の協調性の増強を求めて、
全身的にバランスを調整します。
従って、筋肉の強さやすじの柔らかさなど
部分的に良好になる運動とは違います。

こうして太極導引の練習を積み重ねることで
体の陰陽バランスを整えて、
ごく自然に健康状態を守りつつ、
より良い健康状態を作っていくことができるのです。


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