“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第34回
琴平から能勢への美食の旅

野外での宴は、若葉の頃や紅葉の頃などのいい季節にやると、
本当に気持ちがいい。
自然の景観がいい酒肴となる。
秋も深くなる頃に想いだすのは、
秋鹿酒造を訪問したときに
コスモスの咲く丘の上で受けた宴のもてなしだ。

私の場合は、旅をするときには
期日の限られたなかで最大限の美味しい思いをしたいがために、
その期間で複数の訪問先を組み合わせて、
美味しいイベントをつめこむことが多い。
このときは、まずは香川県琴平の小さい蔵である
丸尾本家を訪問し、
そこで造っている悦凱陣(よろこびがいじん)という、
骨太の旨みたっぷりの地酒を愉しむ企画を
秋鹿訪問の前にいれていた。

丸尾社長とは昔から懇意にしていて、
訪問するときには、その年の新酒はもちろん、
蔵で試験的に熟成している酒などの
普通には販売していない酒を試飲することができて、楽しみだ。
そのときには、あやしく滓がからんでいる生酒など
30種類を垂直テイスティングできた。
試飲の後で、徳島市場で仕入れてきた
天然鯛、あおり烏賊などの魚介類などを
悦凱陣に合わせる宴会を蔵で行う。
調理場がわりに蒸米の甑(こしき)の横の水場を使い、
鯛を捌いて昆布〆や、松皮造りにする。
蔵人の休憩所で宴会を開始。
悦凱陣と瀬戸内の地魚の組み合わせに一同酔いしれる。

このときには、
気心の知れた飲み友達と丸尾社長合わせて4名の宴会であったが、
途中で高松の良心的な地酒小売店の「ふくしま屋」さんが
自家製の小鯛の一夜干しなどを差し入れてくれたりして、
悦凱陣を堪能した。
この「ふくしま屋」さんは最近の台風で店と住宅とも床上浸水し、
冷蔵庫は壊れ、酒は水浸しになる大打撃を受けた。
こちらの二階で、ご主人の料理の饗宴を受けたこともあり、
いっときも早く立ち直ることをお祈りする。


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