“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第330回
スッポン鍋の至福

スッポンは健康にもいいが、
なんといっても、その上品な味わいと
ゼラチン質たっぷりの食感がたまらない。
これまでも、六本木の『富綱』や、
荻窪の『四つ葉』などによく行っていたが、
最近はもっぱら神田の地酒居酒屋である『新八』で
スッポン料理をいただくことが多い。

『新八』の店主の佐久間さんは、
神亀の小川原専務に心酔して、
神亀はほとんどすべてのラインナップを揃えている。
しかも、自家熟成したものもある。
スッポンは以前は中村養鼈所から取り寄せていたが、
少し前からは佐賀にさらに質の高い鼈を見つけ、
そこから仕入れるようになった。
たまには、天然の鼈も入荷することもある。

『新八』のスッポン料理は
神亀を使って長時間スッポンを煮て出汁をとる。
その出汁を使ってスッポン鍋を行う。
生き血などは出さない。
最近『新八』でスッポン鍋を
神亀「小鳥のさえずり」1999年常温熟成古酒とともにいただいた。
出汁にも神亀を使っているので、その相性は抜群だった。
神亀は熟成するほどに固さがとれて、
滑らかで綺麗な味わいとなってくる。
燗をするとそのなかから骨太の味が姿をあらわす。

『新八』のスッポン鍋は甲羅がそのまま入っている。
その周囲にコラーゲンいっぱいの
ぷりぷりのエンペラがついている。
エンペラには出汁の味わいがたっぷりと浸み込んでいて、
噛めばプルンとすべりながら旨みがにじみ出てくる。
また、ヒヅメや頭のまわりの肉、そして皮などもとても旨い。
また、白菜などの野菜にスッポンのスープが浸みこみ、
なんともいいようのない味わいになっている。
鍋を食べ終わったころには、
身体が火照り、肌がつるつるになってきているように感じてくる。

最後にスッポン雑炊をいただく。
出汁をたして御飯を入れて強火にし、
かき回さずに自然に崩れるのを待つ。
そして、最後に卵を落とし、蓋をして火を止めてしばし待つ。
蓋をとると、ふわっとした香りがたまらない。
腹がふくれていても、この雑炊はいくらでも入る。
身体に優しい味だ。

『新八』では鮟鱇鍋も旨い。
美味しい思いができて、
しかも美肌になれるのはスッポンと同じだ。


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2005年12月2日(金)

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