“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第351回
昨年をふりかえる 〜その1:美味しいネットワーク

昨年も、たくさんの美味しい思いをする機会があり、
あらたな食材の発見、美味しい料理屋との出会いがあった。
また、食文化活動をさまざまなメディアに取り上げていただいた。

食文化活動のなかで一番印象に残っているのは、
なんといっても、拙書「世界一旨い日本酒」の出版。
書き上げるまでに、これまでも親しくお付き合いしてきていて、
何回か訪問している蔵元さんたちも、
あらためて取材をする必要があった。
美味しい日本酒を置いている居酒屋や料理屋への取材も
結構な時間がかかってしまった。
本来は冬の燗酒が美味しい時期に出版しようという
出版社の意図には間に合わず、
夏の蒸す暑くなるころの完成となってしまった。

日本酒の低迷は、業界と消費者、
それに、管轄官庁の
税金の対象としか考えていない扱いによるところが多い
と考えている。
拙書では、日本酒の本来のあるべき姿として、
これまでは業界では非常識とされていたことも提言した。
業界からの反発が多いかと思っていたが、
予想外に賛同していただける
造り手、売り手、飲み手が多かったのは大変嬉しかった。

前著「蕎麦屋酒」と今回の「世界一旨い日本酒」、
それに、このコラムを読んだ読者の方々から
さまざまなご意見をいただいたが、
そのなかには、造り酒屋、小売酒屋、料飲店などの業界の方も
大変多い。
一昨年から今年にかけて、『京加茂』の土方さん、
『ラ・ベッラ・ヴィータ』の中川さん、
『桜会』の満田さんなどと知り合いになった。
元、香川大学で
現在は『おいしさの科学研究所』を運営されている山野先生も、
出版がきっかけとなって、わざわざ研究室を訪ねてきてくれた。
日本の食文化の衰退を憂う同志。
意気投合し、共同で日本の食糧自給率の向上する活動を
企画しようという話にもなっている。

このような美味しいものを共有するネットは
どんどん広がっている。
京加茂さんから
ネッカリッチ野菜販売の『がんこ村』の野口さんを、
そして、日本酒のさまざまなイベントやコーディネートをしている
『フルネット』の中野代表からは、
島根のもと鑑定官の堀江先生を紹介していただいたりしている。
西崎ファームの西崎社長からは、
つくば市のフレンチの『かきのき亭』の壱岐さん、
『オイシックス』の高島さん、
『伊勢廣』の星野さんなどを紹介していただいた。
村屋東亭の渡辺維新さんを通じて、
古河の野菜農場の森ファームの森さんとも親しくなることができた。

また、逆に食材生産者を料理屋に
私の仲介で紹介することも多くなっている。
今年もこのような美味しく安全な
食文化のネットワークを広げて行き、
後世に食文化を伝承するための具体的な活動に結び付けて行きたい。


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2006年1月2日(月)

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