“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第545回
名古屋の良心「京加茂」さんと、大阪の良心「秋鹿」の組み合わせ

もともと、京加茂のご主人である土方さんは、
私のこのコラムの愛読者で、
スタート直後に何度かお便りをいただいた。
最初は、どの程度の反響があるか分からないままに始めたのが、
プロの方からとても面白いという意見をいただいて、
その後の執筆にとても心強く感じたものだ。

さて、その土方さんの料理は
京都の伝統を守ることに最大限の努力をしている。
もちろん、最上の素材を使い、
それをきちっとした味の料理にしあげる。
そんな、土方さんの京料理には、
やわい日本酒では合わない。
以前は新潟などの淡麗辛口の日本酒を置いていたのが、
私の勧めによって芳醇な純米無濾過生原酒に一大変化。
その酒の味と土方さんの料理が互いを引き合う。

この店が、7月に行われた名古屋燗酒の会の2次会に使われた。
そのときに秋鹿常務が来て、
自分の蔵の酒がきちっと管理されておいてあるのにびっくり。
それで、今回の秋鹿さんの会を開催することになったそうだ。
私もゲストで来てくれと言われていた。
そもそも秋鹿を京加茂さんに持ち込んで勧めたのは私だった。

大阪から名古屋へ移動し、
駅の近くのホテルにチェックインしてから、
JRの隣駅の八田にある「京加茂」さんに少し遅れて到着。
すでに会は始まっていた。
まずは前菜。
車海老、ゴマ豆腐、栗、枝豆、つくねと、
こつぶの食欲をそそらせるものからスタート。
合わせたのは、山廃70%精米雄町。
この酸味がよく合う。
最初は冷で、次に燗。
やはり、燗のほうが旨みがふくらむ。

次の料理は、鱧のスープ。
舞茸などと合わせてある。
しみじみとしたスープの味は身体に優しい。
そして、お造りがまた素晴らしかった。
太刀魚に大トロの霜降り。
この大トロに秋鹿のクレマンドノゼが絶妙の会い方をする。
クレマンドノゼは協会77番酵母という多酸酵母を用いていて、
甘酸っぱい切れのいい味わいが特色の濁り酒。
この酸の切れがトロの脂に非常によく合う。

そして、宴はさらに盛り上がってくる。
ヒジの病気で、1週間ぶりの日本酒であり、
最初は恐る恐る飲んでいたが、
いつしか、気にせずに酒がどんどんと進むようになる。
その後の展開を期待と怖さと両方を持って待つ。


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2006年9月29日(金)

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