“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第556回
厚岸の牡蠣に圧倒される

厚岸の牡蠣は、厚岸漁業組合から仕入れることはできるが、
どの漁師のものかは指定できない。
その点、「開」は漁師直送のいいものばかりで、
いつきても失望させられることはない。

まずは、「厚岸のあさり」は、
綺麗で旨みのある味わいという点が厚岸の牡蠣に似ている。
ピリカワッカも綺麗な味わいのなかに、
適度な苦味があり、よくあった。
続いて提供された厚岸生牡蠣は、
一つ一つがプリっと張っている身で、
いかにも食べてくれと光り輝いている。
石川県の福光屋の黒帯「悠々」の燗をお願いしていたのだが、
待ちきれずにまずは一つ口つまむ。

牡蠣の身が唇に当たり、
続いて端のほうを噛むと、
潮の香りにコクのある味わいが口のなかに広がる。
美味しい牡蠣を最初の一口噛んだときの官能的な旨さは、
他の食材では見当たらない。
妙齢の美人と初めてくちづけした感触にも勝るかもしれない。

二口目がまたいい。
すでに牡蠣の香りが喉の奥まで通ったあとでの、ダメ押し。
ここで、黒帯「悠々」の燗が登場。
もちろん、生牡蠣に合わせる。
牡蠣を噛み切り、それを噛まずに口に入れたまま
黒帯をぐいっと口に含む。そして、口のなかでマリアージュ。
黒帯の骨格のある味わいが牡蠣の潮臭さを、
旨みに昇華させてくれる。

さらに登場。
焼き牡蠣は、まず香りから先に運ばれてきた。
私は生牡蠣も好きだが、
火を通した牡蠣のほうが遥かに好きだ。
なんといっても、熱々の牡蠣の身は
生牡蠣とは違った香ばしさがあり、生臭さは皆無になる。
この焼き牡蠣がまた黒帯にとてもよく合う。
この焼き牡蠣だけをずっと食べ続けても
幸せは永遠のような気がする。
しかし、次の天麩羅がまた面白かった。

天麩羅は紫蘇の葉などを巻いて揚げてある。
これには、趣向を変えて、カーバのモンサーラを合わせてみた。
このカーバは初めてだったが、とてもいい。
味の安っぽさが無い。
これが天麩羅にぴったりだった。

厚岸牡蠣の宴はまだまだ続いた。


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2006年10月16日(月)

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