“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第655回
鯨の旨さが後を引く

鯨の刺身は、尾の身、赤身、本皮。
尾の身は上品な脂が乗っていて、
霜降りの牛肉と比べれば遥かに軽快。
そして、マグロのトロと比べても、
やはり獣肉の旨みがあって、魚臭さがない。
赤身も噛むほどに旨みがでてくる。
本皮はコラーゲンのジュクジュクした食感に
繊細な旨みが乗っている。
いずれも、秋鹿の山廃山田錦70%の燗によく合った。

次が鯨肉のタタキ。
鯨肉は回りを炙ってあって、チリ酢がかかっている。
鰹のタタキのように、
チリ酢の酸味が鯨肉の旨みを引き出してくる。
そして、生姜焼き。
こうして処理されると、さらに鯨は獣ということがわかる。
豚肉よりも繊細な味わいを感じるが、
魚ではこういう味にはならない。
そして、本皮の関東炊き。
大根と本皮を炊き合わせたもの。
しっかりとした味付けがしていて、
大根に皮の繊細な旨みが染みている。

そろそろ終わりかと思っていたら、さらに鯨料理が続いた。
ハリハリ鍋がまた旨い。
本皮と赤身が入っていて、出汁の味付けがまたいい。
さらに、鯨カツ。
これも、とても軽快な旨みがよく引き出されている。
最後の皿は竜田揚。
衣の塩っけと香ばしさが心地よく、
鯨の旨みと調和している。

食事は二種類で攻めてきた。
まず、鯨丼。
シンプルに赤身の周りを炙ったものがご飯の上に乗っていて、
大根おろしがかかっている。
随分お腹いっぱいにはなっていたのだが、完食。
最後の最後に出たのが、鯨蕎麦。
これまた、ツルツルと入る。
そして、デザートは鯨皮を模したデザインの菓子。

小松博士の話とともに、鯨を食べつくした会であった。
どの鯨料理もクセも臭みもなく、
軽快だが深みのある味だったのが印象的。
鯨の真髄を堪能した。


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2007年3月9日(金)

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