ゲーテの国からアジアを見れば・伏見緑

伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第1回
アジアブーム

欧州は今、ゆったりとした
アジアブームのうねりに乗っています。

冷凍の春巻や寿司、乾麺、醤油などのアジア食材が
一般スーパーマーケットに並ぶようになり、
オフィス街には、
地元のドイツ人も訪れるアジア食レストランが増えました。
そして、通りには、
アジアからの団体旅行客で満席の大型バスが往来し、
百貨店や免税店が賑わうようになりました。

私は、日本で10年間ほど陶芸を主体にした
カルチャースクールの運営を手伝っておりました。
思いがけない縁を得て、ドイツのライン川河畔の国際都市、
フランクフルト・アム・マインの郊外に住まい始め、
まもなく3年になろうとしています。

日本を離れることを心に決めた頃、
私は、中国古道具を身近に置きたいと思いました。
その時には、遠く離れていても
常にアジアと関わっていられるという
安心感を古道具に求めていたのかもしれません。

その後、この3年間、私の古い中国家具や調度品は、
私の支えであり続けています。
欧州の風景や工芸品の中に、
アジアの面影の片鱗を拾い、今も展開しつづける歴史を 
「しっかりよく見ておくように」と私を常に促します。

そういう経緯で、
現代の中国古道具と同じ面影を持つ工芸品を見て回るうちに、
欧州には17 世紀ごろから
永く流行ったシノワズリー(中国風趣味)の文化が数多く、
大切に残されていることを知りました。

時に、シノワズリーの古い家具や工芸品に話題を拾いながら、
ドイツの小さな暮らしの窓から見える、
現代のアジアブームの片鱗をお伝えします。
北京の種字林を訪ねるとき、
そして、アジアでニュースを読むとき、
少しでも何か新たな角度の見聞が加わるよう、
お役に立てればと思います。




2008年6月9日(月)更新
- このコラムは連載終了いたしました -

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■伏見 緑 (ふしみ・みどり)
福岡県生まれ。1993年鉄鋼会社退職後、10年余り、陶芸・陶磁器上絵付けのカルチャースクール運営を補佐。各国あらゆるジャンルの”やきもの”探訪を生き甲斐とする。1996年、当時普及し始めたばかりのインターネット環境で”日本のやきものメーリングリスト”を開設(07'年終了)。2004年岐阜県に中国古道具店を持つ。
同年渡独、フランクフルト郊外に住まう。



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