死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第12回
四十歳、五十歳で粗大ゴミ

世の中にはサラリーマンとして選んだ仕事が
そのまま将来、自分が独立した場合に
継続してできる性質のものと、
独立しようにもとうてい、できない性質のものとがある。
製鉄会社に勤めたり、ビール会社に勤めた人は、
いくら在職中に、鉄のつくり方や
ビールのつくり方を覚えたとしても、
独立して製鉄会社やビール会社を興すわけにはいかない。

製鉄会社は何百億円から何千億円の資本金を要する大事業だし、
ビール会社は本来なら、
西ドイツやオランダのビール醸造会社を見てもわかるように、
小規模でやれる事業だが、日本では許可制になっていて、
零細業者には許可をしない仕組みになっているからである。
もし将来、独立してできるとしても、製鉄会社の庭掃除とか、
駐車場の管理会社とか、またビール会社なら
ビヤホールを経営するとか、
ビヤホールに素材や加工品を納入するていどのことであろう。
在職中に習い覚えたことは
ほとんど役に立たないといってもよいのである。

ところが、ファッション・ビジネスの店員になって
入社した人とか、天ぷら屋や
ラーメン屋の職人として入社した人で、
習い覚えた技術や要領を活かして独立する人は多い。
ノウハウさえ身につければ、小資金でもできる商売だし、
まったく無資金でできる仕事ではないにしても、
元手のかかっていない分を人柄とか、
仕事熱心とか、サービスのよさでカバーできる商売だからである。

もしそうだとすると、同じ職業を選ぶにしても、
将来、独立のできそうな職業を選んだほうが
「死ぬまで現役」でおられるという意味で
利ロな選択ということになるが、
独立して仕事をしているからといって、
それが「死ぬまで現役」でおられるとは限らない。
小さな商売には小さな商売の悩みがたくさんある。

小料理屋やスナックのような小さな店ひとつを例にとっても、
小さいなりに競争は激しいし、料理がまずくても、
サービスが悪くなっても、また設備やインテリアが老朽化しても、
お客の入りがパッとしなくなる。

一番始末が悪いのは、事業を経営している本人が
自分の欠点に気がつかない場合で、
本当は自分の能力が不足したり、
時代の要求とズレが激しくなっているのに、
「こんなに競争が激しくては誰がやっても商売になりませんよ」
「あすこにできた店がうちより
百円安いランチを出すようになったので、
うちのお客をごっそり持って行かれましてねえ」と、
もっぱらライバルのせいにしてしまう。
そうしたタイプの人をみていると、
サラリーマンが定年になるよりずっと早い時点で、
もうくたばってしまっているようなものである。

死ぬまで頑張るどころか、五十歳になるか、
ならないかで、はや終わりに達してしまっているのである。
このことは大会社の
サラリーマンになる道を選んだ人についてもいえる。
定年は六十歳であるけれども、
四十歳、五十歳で早くも粗大ゴミ化がすすんでいる人は多い。
そういう徴候はどこで見られるかというと、
日常の習慣の上にあぐらをかくようになって、
創意工夫の努力をしなくなった時からである。





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2014年12月17日(水)

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