死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第65回
一病息災でブレーキを効かせて

糖尿病だけに限らず、
病気について我々の知っていることはほんのわずかにすぎない。
医者という医療の専門家といえども、それは同じであろう。
むろん、医者は我々のようなシロウトに比べれば、
格段に専門知識を持っている。
しかし、それでも病気について知っているより
知らないことのほうがずっと多いに違いない。
そのわずかばかりの知識をもとにしていっていることが
はたして正しいかどうか。

たとえば、血液の糖度が高くなるのは、
自動車にたとえれば、ガソリンが不完全燃焼を起こして
ケツから黒い煙を出して走っているようなものである。
ケツから黒い煙を出しているのはガソリンが
うまく燃えないせいだから、
ガソリンを入れるのはやめろというのでは、
自動車そのものが動かなくなってしまう。

そういう単純素朴な疑問を持っていたので、
私は医者のいうことはいい加減にきいて、
メシも砂糖もやめなかった。
その後、糖尿病の治療法がかなり変わって
「メシも砂糖もよろしい。
ただし、カロリーを抑えろ」という風になったが、
私が糖尿病になってから今まででも
クルクルと療法が何度も変わっているのだから、
今、お医者さんたちが正しいと思って施している治療法でも
今、知られている限りでの
最良の療法というだけのことにすぎない。

もともと慢性の病気はなかなか蹴らないものであり、
人間は誰でも最後には死んでしまう。
だから、ボロボロになるまで
なるべく長持ちさせることさえできれば
それで事足りるのではなかろうか。
そういった意味では、どこも身体に悪いところがない人よりも、
持病を持っている人のほうがかえって長持ちをする可能性がある。

持病があれば、どうしても身体をいたわるし、
無理をしないように気をつける。
持病はスピード・アラームのようなもので、
ちょっとスピード・オーバーになると、
たちまちブザーが鳴る。
すると、食べ物を控えたり、早く休養をとったりするから、
何とか悪化を食いとめることができる。
昔から「一病息災」という言葉があるが、
身体が鉄のように強い人よりも、
そうでなさそうな人のほうが
ロング・ランに耐える傾向があるのである。

人生の下り坂は誰にも必ずやってくる。
身体の故障だけのことではない。
体力も衰えるけれども記憶力も衰える。
それを見越して職場からも見離される。
すると、坂はますます急勾配になってくる。
どうやってそこを下りるかというと、
これまた自動車を例にとって恐縮だが、
急な下り坂にさしかかった時こそ
ブレーキを上手に効かせることが大切なのである。
免許証はもう返上してしまったので、
自動車の運転は断念してしまったが、
人生の下り坂を如何に上手に下りるか、は今後の課題である。
「さあ、下り坂だよ。プレーキをよく効かせて」
と自分にいいきかせながら、
道を下りるよりほかに方法はない。





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2015年4月20日(月)

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