第108回
ビーナスフォートで物欲との戦い

今、ビーナスフォートの中にあるカフェにいます。
ビーナスフォートとは東京のお台場にある
女性の為のおしゃれなショッピングモールです。
モール内はイタリアの町さながらに作られていて
どこを歩いても楽しい気分になれます。
ハロウィーンが近いので装飾もオレンジのカボチャや
魔法使いや蜘蛛のモチーフの飾り付けがされ
賑やかさを添えています。
どうやらキャンペーン中らしく、
どのお店をのぞいても１０％ＯＦＦです。
中には５０％ＯＦＦのセールまで！

「ああ！アレもコレも欲しいわ！！」ということで
気が散ります。
さっきまではすっかり忘れていたのに、お店に入ると
前から欲しいと思っていたモノが色々思い出されるから不思議です。
いつもの私ならば、手頃なインナーか何かを
衝動的に買っていたでしょう。
ですが、ついさっきまで忘れていたようなモノは
私にとって本当に必要なものではないのです。
結局１，２度袖を通して箪笥の肥やしになるか、
収納の頭痛の種になるのが目に見えています。
いま何か買いたいという気持ちをグッとこらえています。

ところで、このビーナスフォートは
女性心をくすぐる演出が盛りだくさんです。　
イタリアの町並みを再現したかのようなおしゃれな内装にはじまり、
人気の洋服、靴、バッグ、アクセサリー店、
おしゃれなレストランやカフェがたくさん入っています。
歩いているカップルを見ても女性は
あっちをキョロキョロこっちをキョロキョロしているのに対し、
男性は彼女に付き添っているという感じです。
このような女性の物欲を刺激する場所へ彼女と来てしまったら
何かおねだりされる覚悟がいることでしょうね。
ですが、最近の若い男の子は
案外女性の買い物につきあうことに抵抗はないみたいです。
彼女と一緒に楽しそうに選んでいる人が結構います。

皆が素敵なお買い物を楽しんでいる片隅で、
私は物欲との戦いに挑んでいます。
ですがこれも自分に似合い、
ごく少ない数のワードローブを完成させる為の過程にすぎません。
そう思うと何だか物欲がおさまってきました。
それよりも家に帰ってもう一度クローゼットの中を点検してみよう。
本当に必要なものだけをリストアップしておこう。　
何だか家に帰るのが楽しみになってきました。