虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第264回
「栄養状態が過剰で起こる病気」

今から二、三十年ほど前までの
食糧が慢性的に不足していた時代には、
血小板の凝集力が弱くて
出血しやすい人の比率が高かったそうです。
また、白血球の粘着能力も弱くて、
風邪やインフルエンザなどの感染症に
罹る人の割り合いも
ずいぶん多かったみたいです。

しかし、現在のように
食料が溢れるほど豊富になって
栄養状態が過剰気味になってきたら、
逆に、血小板が凝集する力が強くなって
脳梗塞や心筋梗塞などの
血栓症に罹る人たちが大幅に増えてきています。

また、以前のように、免疫力が低下して
風邪やインフルエンザなどに罹る人よりも、
反対に、免疫が過剰になって
花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などの
アレルギー疾患を引き起こす人たちが
急激に増えてきてしまっている状態です。

つまり、栄養状態の善し悪しによって、
罹患する病気の質が
大きく変化してしまったのです。
そのため、現在は医薬品だけでなく、
食品についてもアレルギー反応を抑えたり、
「血液サラサラ」というか
血小板の凝集力を抑える作用を持つものが、
特に世間の注目を集めるようになってきています。

中医学では、漢方薬を使うだけでなく
食養生にもいろいろと気を使いますが、
それは栄養状態によって
病気の質が変わってしまうことなど、
身体への食べ物の及ぼす影響の大きさを
今までの長い経験で
よく分かっているからです。


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