虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第325回
あの薬は、抗ガン剤だったのか!

リウマトレックスは
リウマチ専門の医師が処方する医薬品で、
関節の障害を抑える効果が
他のリウマチ薬に比べて高いため、
長期間使用している患者さんが多いと聞きます。

しかし元々、この薬の成分は
1960年代に抗ガン剤として開発され、
それが1980年代になって
リウマチに高い治療効果があることが分かり、
世界各国で関節リウマチの治療薬として
使用されるようになったものです。

つまり、安全で効果が高いという薬ではなく、
危険性があるが上手に使えば有用性も高い
というふうに解釈すべき薬で、
抗ガン剤と同じく、投与される患者さんにも
ある程度の覚悟を求める薬のように思われます。

メーカー側は、
適用患者の選択基準や
副作用の初期症状を見逃さない指導について、
医師や薬剤師らに今まで何度も
情報を提供しているという話ですが、
もっと大切で必要なのは
服用する側の患者さんに対しても
きちんとした情報を提供してあげる姿勢でしょう。

例えば、患者さん向けに配布している小冊子で、
“生命に関わる副作用”とか
“ときに重篤なことがある”などといった表現で
この薬の持っている危険性について
十分に言及しているとメーカーは語っていますが、
この薬の持っている副作用の危険性は、
医師が直接、患者さんに
副作用による死亡例や死亡率を
具体的に挙げて
説明しなければならない性質のものなのです。
そのため、薬の添付文書にも、
処方できる医療施設の条件などを指示した
警告表示が、いろいろ細かく書いてあるのです。

今回、多くの死亡例が報告された
リウマトレックスですが、
この薬の危険性を正確に認識して、
骨髄抑制による血液障害や
間質性肺炎の兆候を早期に発見できておれば、
死に至るような重い副作用は
ある程度防げたはずです。

最近、日本やアメリカ、北朝鮮でも、
論理のすり替えが非常に流行しておりますが、
今回の事故の原因も、
リウマトレックスという薬にあるのではなく、
使う人間のほうにあったといえるのではないでしょうか。

※骨髄抑制については、
  血液検査を定期的に受けること、
  口内炎やヘルペス、風邪をひきやすくなるなどの
  免疫力の低下により起こる症状を見逃さないこと。
  また、急な咳や発熱、呼吸不全などの症状が出たら、
  間質性肺炎を起こしている可能性があるため、
  一刻も早く病院で受診すること。


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