せっかちの先見カ
だからといって、この教訓をしっかりわきまえるようになって、タイミングの呼吸を私が身につけたというわけではない。せっかちはいつもせっかちで、のろまはいつものろまである。せっかちにはせっかちの失敗がある代わりに、せっかちでないと味わえない喜びもある。私の人生は、概して言えば、せっかちの人生で、かなり先を突っ走って気がついてみたら、誰もついて来ないので、皆の姿が見えるまで待っている時間がいつも長すぎる。
これではいけないので、少し意識的にゆっくり走ろうと心がけているが、もって生まれたせっかちと言おうか、あっと思ったときは、またしてもまわりに誰も見えないところに来てしまっているのである。
しかし、株には先見性という性質があるし、その株の動きを予想するためにも、また先見性が必要とされているので、私のせっかちはかなり役に立っている面もある。
たとえば、私はエネルギー革命ということにも気がついたし、またマイカーブームになることにも気がついたので、日本経済の先行きに対して全体として強気の予想をしていたし、変化やブームを予想する度に、多少、屈折した発想ではあるが、それに相乗りすることもできた。
株でいえば、エネルギー革命が頭の中に入っていたので、私は石油プラントのメーカーである千代田化工建設の創設者である玉置明善さんとも、吉村昌光さんの紹介で知り合いになり、友人たちと毎月二万円ずつ金を出し合って五年間、いわゆるドル平均法を応用して千代田化工の株を買い続けたことがあった。五年間に一人当たり百二十万円出資して、解散するときはその三倍にもなって、そのお金で土地を買い、家を建てた出資者もある。
また自動車ブームが日本の道路を一新すると思ったので、佐藤工業や飛島土木などの建設株を買って、その値上がりで、ビルを建てたりしたこともあった。そのいずれも、既に社会的に地盤ができた一流企業ではなく、当時としては、まだこれからといった若い企業ばかりであったから、私の手がけた株式投資は、先見性における株式投資法、いわゆる成長株買いに集中していたと言ってよい。
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