むろん、同じセルフサービスのクリーニング屋からスタートして、早くにこの欠点に気づき、受付店だけを地域全体にアミの目のように張りめぐらして、洗濯物の処理はいくつかの工場に集中するという方式に切りかえて年間売り上げ五十億円までこぎつけた同業者もある。
しかし、私には物書きとしての収入があったし、ビルを毎年のように建ててそれなりの家賃収入もあがっていたし、その収入で私はベンツに乗り、家内はオペルに乗っていた。シーズンになると、職人たちではとても仕事が消化しきれないので、家内が仕事に駆り出された。家内はオペルの新車を洗濯屋の店先に停めて仕事を手伝った。洗濯屋に来るお客さんはまさかうちのかみさんだとは思わないから、
「奥さん、洗濯屋って儲かりますね。外車に乗れるんですから」
と遠慮のない挨拶をする。その度に家内はどう答えてよいかわからず、目を白黒させることもしばしばであった。
また実際に仕事をやってみないと想像のつかないことがいくらでもあった。たとえば、私たちなら着ている物は、ちょっと汚れたらすぐに洗濯に出すし、また季節の入れ替えのときは一応、一とおり洗ってからしまいこむ。
ところが、世の中には雑巾のように汚れてから出す人もあれば、ヘドがこびりついてテカテカに乾いてから持ってくる人もある。ヘドのついた汚れ物にあらかじめブラシをかけないと機械の中に入れてもなかなか汚れがおちないから、家内はそういう仕事も「汚いねえ」と言いながら、せっせと片づけていった。
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