温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第70回
混浴は日本の文化

何百年と湯を守り続けてきた
“古湯”と呼ばれる温泉地には、
いくつかの共通点があります。

まず、温泉神社や薬師堂が祀られています。
霊験あらたかな湯に対して、
先人たちが畏敬の念を込めて建立したものです。
その土地にとって、いかに温泉が
大切なものであるかが分かります。

次に、外湯(共同浴場)があります。
現在のように各旅館に温泉が引かれたのは、
戦後になってからです。
それ以前は、湯治客は宿から“大湯”と呼ばれる
共同浴場へ入りに行きました。
ですから現在でも外湯が残されている温泉地は、
歴史が古く、湯量が豊富な証拠なのです。

もう1つ、私が古湯の条件に入れたいのが、
「混浴」の存在です。

昭和23(1948)年に公衆浴場法が制定されて以降は、
日本では不特定多数の成人男女の混浴は禁止されています。
現在、混浴が許されているのは、
各都道府県知事により特例として認められている
浴場のみということになります。
まさに、日本特有の温泉文化といえるものです。

旅館やホテルの浴場には、この法律が適用されないものの
昔ながらの純粋な混浴風呂は、
年々減少の一途をたどっています。
水着の着用が義務付けられたり、
女性専用時間帯を設けている旅館やホテルが多くなっています。
また女性客の苦情からか、
新たに女性風呂を増設する宿も少なくありません。
浴槽を増やすということは、それだけ湯量を必要しますから、
そのために、かけ流しをやめて循環式にしてしまうという、
本末転倒な事態が起きています。
また湯量を増やすために、
新たに源泉を掘った旅館もあります。

では、どうして昔は混浴が一般的だったのでしょうか?
その答えは、簡単です。
貴重な温泉を大切に利用するために、
1つの浴槽を男女で兼用していたからです。

言葉を言い換えれば、
湯の都合に人間が合わせていたと言えます。

確かに、現代社会の中で“混浴”という入浴スタイルは、
馴染めない風習かもしれません。
しかし、それが本来の湯治スタイルなのであれば、
我々現代人が守り継がなければならない
文化の1つなのだと思います。


←前回記事へ

2012年7月28日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ