元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第8回
とうとう「担癌者ジャーナリスト倶楽部」を作ってしまいました

最近、大都会の病院では直接本人に
ガン宣告をする医師が増えていますが、
地方ではまだまだです。
世間には「ガン即=死」という常識が根強く浸透しています。
ガンは世間にヒソヒソと噂を振りまく
「性質(たち)の悪い醜聞病」でもあります。
僕はガン病棟を退院してすぐに(実は脱走したのですが…)、
「母はボケ、俺はガン」(日経BP社)という
闘病記を発表しました。
「ガンは切らずに治す」という
ちょっと世間の常識を破った、へそ曲がりの闘病記でしたから、
「おめでとう。奇跡の生還だ」と喜んでくれたのは、
妻と仲良しのメール仲間たちだけで、
風の便りで伝わってきた、大抵の反応はひどいものでした。
「え〜? 手術をしない? 馬鹿なヤツだ。
 それほど悪性のガンだというのに」
「とうとう、あいつも御陀仏か?もう可哀想で見舞いにも行けないよ」
悔しいことですが、ガンは体だけでなく、
友人同士の信頼という心の襞も蝕む醜聞病だと思いました。
なるほど、有名人のガン発覚が
世間のスキャンダルになることも身をもって知りました。

ですから、
僕のところにくるメール相談にしても患者の名前は匿名厳守が原則です。
ところが、ガン病棟に入ってみると分かるのですが「医は算術」の巣窟です。
病室は超満員、医師はノルマ治療に追われて、
「3分治療」とは言いませんが、病状説明はもちろん、
殆どの主治医が親身になって患者のトータルケアなどしてくれません。
看護婦の笑顔と最新医療機器はピカピカと輝いていますが、
「明日の命」を願う患者の気持ちを掬い上げてはくれません。
冷たいものです。

やれ、分子標的治療だ、遺伝子治療、粒子線治療だなどと、
新聞紙上で未来最新治療の「バラ色の情報」がさかんに喧伝されますが、
治療代がべらぼうに高い。
まだまだ人体実験のような
ヨチヨチ歩きの治療法にすぎないことが分かります。

大抵の主治医が「ガンは切れば治る」とメスをかざして折伏しますが、
手術で死ぬ人も目の当たりにしますから、
患者たちは治療の迷路をウロウロと徘徊することになります。
しかし、やっとパソコン嫌いの中年患者たちも
ノートパソコンを持って入院。
健康の自己管理を心する人が増えてきたように思います。
いまでは命が助かった感謝をこめて、
「担癌者ジャーナリスト倶楽部」という小さな懇親会を作り、
患者のためのメール相談を毎日続けているわけです。
「命はあなた自身のもので医者のオモチャではありませんよ。
 ガンは情報戦です」
と多くの患者に呼びかけています。


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