元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第402回
なぜドクハラ医師がはびこるのか?

僕の敬愛する外科医の土屋繁裕さんが、
ドクハラ=ドクターハラスメント撲滅を提唱して以来、
医師と患者のコミュニケーションをめぐる論議が
あちらこちらで高まっています。

ドクハラをただ「酷い」「困る」と泣き寝入りするのではなく、
患者のほうが積極的に治療のあり方を正していかないと、
心無い言動で傷つけられるばかりか、
東京慈恵会医科大付属青戸病院の事件のような
医療ミスや治療判断ミスで患者が命を失いかねないからです。

土屋医師は、日頃から「患者は医療消費者になろう」
「病院選び、医師選びは命の買い物だ」と強調していますが、
そのあたりについて、先日、数時間、対論しましたので、
そのさわりを紹介していきたいと思います。

関根 ドクハラ医師の見抜き方ですが、
    土屋先生も本に書いているように、
    たとえば、教授どころか、大学卒業したての研修医にしても、
    命についてのエキスパートだと思われていますから、
    患者からは「先生、先生」って崇められているわけですよね。
    そうした環境も
    ドクハラの温床になっているのではないですか?
    医学部そのものが国家試験の予備校化していって、
    上から下まで、人格教育、
    いや、命のサービス業としての教育が
    ぜんぜんなされていないところに、
    問題が起こっているのではないですか?

土屋 教えていないですね。
    大学病院では大名診療というのですけど、
    お客さんはいくらでも来るから、
    それが当たり前になっている。

関根 とくに、ガン治療のように難病患者を扱う医師や病院は
    「命のサービス業」に徹底しないとマズイと思います。
    なぜならば、いまは50歳以上が5000万人という、
    長寿難病時代に突入しているわけですからね。

土屋 そういう権威主義みたいなものは
    どんどん変えて行くべきです。
    うちのオヤジも77歳で病院院長ですが、
    ずいぶん変わりましたよ。
    しかし、60歳過ぎの医師は
    まだまだ「患者さん」という感覚が少ないです。

関根 今、初診のとき名刺出す先生も出てきたようですね。

土屋 おります。自己紹介くらいはもう常識でしょう。
    別にえらぶったり、隠し立てすることはないからです。
    情報公開すればいいのです。
    医者は患者に選ばれている職業だという環境になれば、
    かえってヤル気になります。
    医者のプロフィールを全部情報公開すれば、
    患者さんは「この先生に会いたい」という前提で来ます。
    そうすれば医者だってもっとヤル気になりますよ。

関根 欧米ばかりか、
    隣の中国ですら、医師の技量ランキングというか、
    情報公開は凄いものです。
    僕はよく中国の病院で診察してもらうことがあるのですが、
    病院に入ると医師の顔写真、経歴が出ていて、
    お目当ての医師を選べるようになっています。
    国家名医といったランキングの医師も分かります。
    不正をする医師や薬剤師は告発してください
    などと張り紙がしてあります。
    医療に関して日本はまさに患者無視の情報公開後進国ですね。


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2003年10月3日(金)

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