元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1064回
「誰でもがガン」

「4〜5月に放映されたNHKのテレビ番組
 『シリーズ日本のがん医療を問う』について、
 がん治療に携わる医師ら405人(注・臨床医ネット)が
 『視聴者に誤解を招き、治療現場に混乱を生じている』
 とする意見書をNHKに送った」
7月の朝日新聞に、こんな“抗議記事”が載ったことを
覚えている人もいるでしょう。

問題点は二つあるようで、
(1)日米のガン死亡率の比較が「不適切」
(2)新承認の大腸ガンの抗ガン剤・
   オキサリプラチンの取り上げ方が「不適切」――
という抗議でした。
ま、これは、ある一部の臨床医とNHKの見解の相違で、
当分、論争は続くでしょうが、
こと、長年、ガンと闘っている患者からすれば、
まだ、日本のガン医療とは、
こんな低レベルで、言い争いをしているのかと、
ガックリくる思いでした。

このコラムでは何度も書いていますが、
多くの賢明な患者のみなさんは、
化学抗ガン剤が、
もはや「魔法の弾丸」などと信じていないが、
なにか、少しでも手だてがあれば、
自分の治療計画に取り入れて、
少しでも「延命したい」・・・
こうした気持ちが本音なのではないでしょうか?

僕は、日本のマスコミのガン報道が
昔に比べて積極的になったことは歓迎していますが、
いつも思うことは
「患者を救う」「患者本位のガン医療」
といいながら、
医師サイドも、メディアサイドも、
ほんとうに「患者の気持ち」がわかっていないなあ・・・
という感想です。
医師は、患者を「病原物体」として数値化したがる、
抗ガン剤効果の数値化ばかりを論争したがる――、
マスコミは、ガン患者が苦しみながら死んでいると煽る、
患者を「悲劇役者」としてドラマ化したがる――、

もう、こうした狭量なガン医療とガン報道では、
多くの患者は救われないのです。
極論を言わせて貰えば、
医師にも、もちろん、新聞社、テレビ局、出版社にも、
ガンに罹っている患者が続出していますから、
むしろ、こうした“患者医師”や“患者記者”たちに、
新しい医療体制を考えて貰う、
新しいガン治療のあり方を問う記事を作って貰う――、
こうした“ツーウエーの時代”に入ってきたと思うのです。

もはや、ガンは実験材料の「学究病」や
他人事の「嫌悪病」ではありませんよ。
「誰でもがガン」になる危険をはらむ、
長寿難病社会の「全人的な生活習慣病である」ことを、
先駆的を標榜する医師なら、
先駆的を商売とするマスコミなら、
もっと真剣に見直すべきだと思うのです。
こんな考え方は“暴論”でしょうか?

いや、ガンとは、
長寿成熟社会にもたらされた
「日本人の心身の生き方」の問題だという視点に立って、
医療制度の改革を提案し、
より急いで構築すべきなのです。


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2005年7月26日(火)

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