元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1265回
情報の100円ショップ化?

僕たち、スローヘルス研究会の新雑誌
「いのちの手帖」の話をもう少し書きます。

雑誌の広め方も、売り方も、一般雑誌と違って、
書店やコンビニで“機械的に”売るのではなく、
郵送による直販方式で広めていく――、
ガン体験患者が人間らしく生きるための「いのちの知恵」を
次の患者に、さらに子供や孫の世代に、
手から手へ、こころからころへ、
しっかりと「バトンタッチ」していこう――、
そうした願いを込めて企画したのが、
この新雑誌だという話の続きです。

ところで、昔、僕が現役の編集長のころとは、
情報の伝わり方が変わってきたようで、
多くの一般雑誌が売れなくなっています。
ものを売る宣伝方法も変わってきました。
全国紙や大雑誌に高い広告料金を払って、
ただ広告を打てば売れるということもなくなりました。

まえに、ある自然健康飲料の宣伝方法について、
その会社の社長から相談を受け、
ふたつのメディアを紹介したことがありました。
ひとつは部数が数十万部の女性週刊誌、
もうひとつは、2万部の直販の自然食雑誌に広告を打ちました。
さあ、どちらのメディアに宣伝効果があったと思いますか?
女性週刊誌の読者からは30人しか反応が無かったのに、
自然食に特化された情報誌からは
400人の反響があったのです。

ことほどさようで、
特化されたジャンルの質の高い情報ならば高く売れるし、
宣伝方法も変わってきたのだなと実感したわけです。
ま、ビジネス社会の仕組みも音を立てて変わってきました。
アメリカ中心の“国際規格ビジネスモデル”が持て囃され、
やれコンプライアンス(法令順守)だ、
コーポレートガバナンス(企業統治)だと、
ただ国際規格の“規制制度”だけがモノマネされて、
これぞ最先端の合理主義だと妄信されている世の中ですから、
一般企業経営や学校教育だけでなく、
本来、情報ゲリラが特質であるはずの雑誌メディアまでが、
自己規制式のプラグマティズム(合理主義)に毒され、
どれも同じ顔の「金太郎飴メディア」
になってしまったのではないか?
発信する情報価値までがレベルダウンの
“激安化”したのではないか?
と思っているわけです。

とくに、「ヒト情報」が、ただ機械部品のように
「モノ情報」としてメディア化されている社会は、
決して健全とはいえません。
情報の値段すらも“100円ショップ化”してしまったのでしょうか?
とくにインターネットによる情報の双方化が普及して、
ニュースの価値もぐーんと変わってきました。

話はまどろっこしくなってしまいましたが、
「いのちの手帖」の話に戻しましょう。
この雑誌は、ほんとうに小さなメディアですが、
ヒト情報のモノ情報化、情報の激安化、情報の100円ショップ化、
そして、メディアの金太郎飴化は、ちょっとおかしいぞ?
そうした、ささやかな反発心から発案された雑誌でもあります。
というわけで、いまは赤字覚悟。採算を度外視した雑誌ですが、
なんとしても、人間本来の“いのちの絆”を見直す雑誌を作ろうと、
あえて、キャッチフレーズも、
「心のマッサージ・マガジン」と銘打ったわけです。

まず、書いた人から読みたい人へ、
そして、読んだ人から、さらに読みたい人へ・・・、
スローヘルスの輪が口コミとインターネットで伝わる、
そうした「グッドニュース(福音)読本」としたい――、
ガンの患者さんや家族のみなさんはもちろんですが、
より人間らしい情報、ほんもののヒト情報を求めている方は、
一度、手にとって読んでみてください。


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2006年2月12日(日)

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