元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1273回
抗ガン剤の「功罪」を知ろう

3月1日創刊の「いのちの手帖」の書評欄でもとりあげた、
おすすめの「患者学的治療学の本」=
「いのち本」の7冊のうちの一冊、
「抗ガン剤治療のすべてがわかる本」の内容紹介の続きです。

いま、大病院では、手術についで、
よく使われるのが、抗ガン剤ですから、
僕のように抗ガン剤恐怖症、または拒否症の人でも、
ただ「食わず嫌い」するのではいけません。
わが身に受けるガン治療の正体を知らずして、
「いのちを張る」くらい、愚かなことはありません。

敵(?)の正体くらいは、十分に知ったうえで、
わが身の次善の策を講じる=
いのちの治療設計を組み立てることが、
これからの「賢い患者学」だと、前回書きましたが、
白血病から肺ガン、消化器系ガン、乳ガン、子宮ガンまで、
「ガン種類別・新しい抗ガン剤治療」
の解説が詳しくありますから、
気になる患者さんは、
治療の選択に迷っている方は、まず、ここを読んで、
決断のヒントに活用されたらよいと思います。

100種類の最新・抗ガン剤の話を、
すべてここで紹介するわけにはいきませんが、
病院で多用されているシスプラチンから
話題の肺ガン治療薬イレッサまで、
その「効果と副作用」、
つまり抗ガン剤の「功罪」がよく分かりますから、
ガンの患者ならずとも、
ご家族のみなさんも読んでおくべきでしょう。

たとえば、なぜ、シスプラチンのような
プラチナ製剤の抗ガン剤が
他の薬より効くかということについて、
米国のフランコ・マギア腫瘍学部教授が、
この本のインタビューで次のように答えます。
「遺伝子DNAの2本鎖に橋渡しして、
DNAの合成と転写を妨げ」るからで、
「プラチナは銅の代謝によって細胞核に運ばれる」
という作用理論で説明できるというのです。
一方、抗ガン剤の副作用について「アメリカではいま、
毒性を減らすことが非常に大きなテーマになっている」と
「罪」の部分も隠さず述べているのが印象的です。

よく、日本には「最新の抗ガン剤なら完治できる」などと
軽々しく患者を折伏する医師がいますが、
僕たち患者は、「いかにしていのちを永らえるか?」
「ほんとうに元気に長生きできるか?」の
治療判断が出来ればいいわけですから、
はは〜ん、やはり、化学療法=抗ガン剤にしても、
いまだ「ガンも叩くが正常細胞も叩く」ものなのだと再確認できて、
かえって、僕のようにスローヘルスの持論に
自信を深めることもできます。

さらに、話題の肺ガン治療薬・イレッサについては、
「気管支腫瘍(肺ガンの一種)に対して有効であることは
 疑問の余地がない。
 また、この薬にも毒性があり、
 それがアメリカ人などより
 日本人に対してより広範に現れることなのかも知れません」
といっているではないですか?

日本の治療本では、これほど、
抗ガン剤の「功」も「罪」も述べているものは少ないでしょう。
患者が知らなかったり、納得できずに、
医師のいうままに、わが身を投げ出して、
治療を受けるとしたら、
これほど愚かしいことはありません。
あえて、スローヘルスの雑誌
「いのちの手帖」の推奨本の一冊に、
この「抗ガン剤読本」を取り上げた所以でもあります。
ぜひ、一読して、イザというときに臨んでください。

「敵を知り、己を知って」わが身の次善の策を講じる――、
したたかに、しなやかに、いのちの治療設計を組み立てる――
これが賢い患者学だと、僕は思っています


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2006年2月20日(月)

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