元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1329回
スローヘルス患者学入門

「スローヘルス患者学」とは、
ちょっと、学問的にいわせてもらえば、
人間丸ごとを診るホリスティック医学、
さらに、いのちのメタフィジックス(形而上哲学)の
実践応用学と考えてみてください――、
そして、読者のみなさんが、以下のような人生の実践法として
(1) 養生法
(2) 処世法
(3) 死生法
の各分野に応用できる生命科学の一分野が
「スローヘルス患者学」だ――、という話、
そして、「いのちの手帖」の読み方の話の続きです。

ちなみに、医学はもちろん、近代科学は、
「目に見える事象」しか研究対象として認めず、
「目に見えない世界」の心理現象や生命現象を否定してきました。
しかし、情報社会が進み、
遺伝子工学、分子生物学、宇宙物理学などによって、
いのちの仕組みが明らかにされればされるほど、
「目に見えない」生命の謎は
ますます深まってきたといっていいでしょう。

とくに、人間のいのちを扱う医学は、
現実には治療の複雑さに対応が仕切れなくなったといえます。
多くの大学病院、ガン専門病院などでは、
まだ、目に見える世界の「エビデンス」(証明性)ばかりに固執し、
手術、抗ガン剤、放射線といった
臓器分解式の治療の手立てを失うと、
ガンの患者に「余命宣告」を下すという、
実に乱暴な医療を施しております。

ここに、いのち全体のつながりを丸ごと診る、
ホリスティック医学が見直され、
とくに、多くの患者サイドから「スローヘルス」が
期待の目で見られているわけで、
これは、じつに興味深い現象だと思います。

もちろん、こころを診る、いのちを診る・・・
代替療法、伝統療法などと称して、
いかがわしい飲食品や機器を売りつける業者、
治療師も跋扈していますから、
いくら患者が期待する「ホリスティック医学」といっても、
一般に容認されるには、
まだまだ多くの壁が立ちははだかっています。

先日も、ある小さな出版社の社長からこんな話を聞きました。
欧州で公認されている、
ある伝統医療の真面目な本を出版したら「療法の題名が問題だ」と、
日本の大新聞社から出版広告を拒否されたそうです。
例のガン・バイブル本の“記事捏造”事件以来、
マスコミも薬事法の取締りを怖がって、
公認されている治療法以外の広告は
なんでもかんでも自粛してしまったというのです。
(それまでは、こうした商法の大きな広告を
 たくさん掲載していたのはみなさんもご存知の通りです)

ま、法治国家の決まりごとにとやかくはいいませんが、
患者の知りたい情報が規制されていく、
いやメディア自粛が短絡的になされていく風潮は、
こと医学の分野に関わらず、
「後退する社会」といわざるを得ないと、
僕は腹を立てているわけです。

ですから、小さな雑誌「いのちの手帖」発刊の理由のひとつは、
これから、患者の知りたい情報や知恵を伝えるメディアが
自粛され、規制されていくとすれば、
これほど不幸なことはない――と痛感したからでもありました。
もちろん、「いのちの手帖」には、
大学病院の主治医たちが
目くじらを立てるような療法について書いた
患者さんの手記も堂々と載せました
ただし、あくまで、からだ、こころ、いのち・・・
人間丸ごとを診るホリスティック医学にこそ、
患者と家族が期待できる
「医学の未来がある」と考えてのことなのです。
これからは、哲学や医学の専門分野を
知識として取り入れるだけでなく、
あなたのライフスタイル自体をメタフィジックスに組み立てる――、
そうした積極的な「いのちの時代」だと僕は考えているわけです。


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2006年4月17日(月)

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