元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1363回
続・長寿災難時代

せっかくの長寿謳歌時代を
長寿災難時代、いや長寿寝たきり時代としないためにも、
創造的延命学=スローヘルス患者学を
身につけていただきたいという話の続きです。

「2005年の1年間に国立病院や大学病院など
主要な272施設から報告された医療事故は1114件で、
うち143件(12.8%)が死亡事故だった」
前回、日経新聞の記事を紹介しましたが、
おなじ5月11日、
日経新聞朝刊の社会面トップ記事に
「誤診を認め、国立国際医療センターが和解金3000万円」
という記事が大きく掲載されていました。

「国の中核的な医療施設である
国立国際医療センター(東京・新宿)が
1991年に「がん」と診断して食道を切除した男性に誤診を認め、
和解金3000万円を支払っていたことが分かった。
男性が後遺障害の損害賠償を求めた訴訟の
控訴審(一審は男性敗訴)で診断ミスが発覚、和解に応じた。
重大な診断ミスの背景として、
全国的な病理診断体制の不備などを指摘する声も出ている」
記事の抜粋は以上のようなもので、
僕自身、この70歳の患者さんと面識があるわけではありませんし、
事件の詳細は知りません。

ただ、食道ガンという同病の患者さんと
ご家族の心持を思うと、いたたまれない気持ちとなり、
読ませていただいたことになります。
新聞を読む限りでは、
右胸から背中にかけての術後後遺症による激痛は
甚だしかったようですから、
15年間に及ぶ闘病と、
誤診事件係争の心労は、計り知れないものでしたでしょう。
その意志の強さには、まったく、頭が下がる思いです。

ちなみに、食道ガンの手術とは、
肋骨を押し開いて、喉、胸、腹を「三枚おろし」にする、
100人に80人は助からないといわれる難治療です。
僕は、読者のみなさんもご存知のように、
意気地がないといいますか、医師と病院を信じられなくて、
手術の強要を拒否し、抗ガン剤と放射線に切り替え、
退院後は漢方や食事療法で、8年、延命してきたケースです。

とにかく治療の選択とは、まさに多種多様、
人生いろいろで患者の運命も様変わりします。
僕とおなじときに、同じ主治医に食道ガンの手術を受けた、
愛称「豪傑さん」という同僚がいました。
この人の話はまえにも書いたことがあります。
術後、この人も、やはり、後遺症に悩まされて再手術。
さらにガンが口腔に転移して、
とうとうアゴの骨をとって、大たい骨の一部を接いだり、
そこがまた腐ったりして、チタンをはめたり、
散々な目にあって、4年後に亡くなりました。
遺族が、体の各部に残った切り傷(手術痕)を計ったら、
あわせて「2メートル」もあったというのです。
僕は、あまりの病院の手口の惨さに絶句しました。

患者さんなら分かることですが、
ガンの主治医は大抵が外科医ですから、
よほどの末期ガンでもない限り、
「このリンパにも転移しているから」といって
問答無用で手術を勧めます。
僕の場合なども「術後は好きなものはなんでも食べられますし、
3週間でゴルフも出来ますよ」と甘言を弄して、
手術を強要してきました。
いまから考えてもトンでもない話でした。
治療の選択とは、最後は「患者の判断」です。
どうしても「患者学」が大切な時代となっているわけです。


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2006年5月21日(日)

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