元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1792回
「久病良筆」(1)

スローヘルス研究会の仲間で、
僕の40年来のジャーナリストの友人である
樋口栄一さんから、一冊の医療本が送られていました。
ガン・アトピー・難病の治療には
西洋・東洋・心身医学の統合療法

(飛鳥新社)という題名ですが、樋口さんが
この本を編集構成したので、送ってきてくれた――
医療本作りも、自らが大病を経験した人と
そうではないライターや
編集者の作ったものは出来が違うように思います。
患者の僕などは、医療本を読むと、すぐにその違いが分かる――、

ちなみに、樋口栄一さんは、
「いのちの手帖」第3号にも、自らが長いこと患った
複雑な糖尿病との闘病記を寄稿していますから、
これだけの分かりやすい「統合医療」の本が
出来上がったのではないか?
まさに「長患いの患者はよき書き手」=「久病良筆」だ――という話の続きです、

では、ライターの樋口さんは、どんな難病克服を体験したか?
すでに読んだ人もいるでしょうが、
まだ読んでいない方のために、
「特集・体にいいことしてますか?
わが疾走記/名馬ディープインパクトと
どちらが長生きできるやら?」という
樋口さんの糖尿病克服のエッセイを紹介しておきましょう。

             *

95年間生きると死の恐怖を味わうことなしに
安らかに死を迎えられる…のだそうです。
これは、ある75歳の知の巨人のお言葉なのですが、
あと20年生きるという目標が向学心に繋がるのか、
ほかに現世へ執着心があるのかは存じませんが、
つい最近も借金してまで3億円の邸宅を新築されました。
「長生きするぞ!」という意思の証しのようで、
羨ましいというか、ただ凄いなと思うばかりです。 
凡百にとって、20年後はおろか、
10年後のわがいのちすら想像つきません。
幸か不幸か、私には死への恐怖はありませんが、
25年くらい前に三途の川辺をさまよって
連れ戻されたことがありました。
原因不明の激痛が腹部に走り、
救急車で病院に運ばれるさなかに、
視界がどんどん狭くなり光が点になって闇が広がった。
音はまったくなくなり、意識が遠のくだけという状態で、
死ぬということはこういうことなんだと
妙に得心したようなことがあります。
死にたくないなど思う間もあらばこそで、
フェイドアウトするという感じでした。
絶対安静の集中治療室で48時間すごし、
のべ1週間の入院でしたが、
仕事で旅先だったため、
何の病気かもわからないままに帰京しました。
急性膵炎と診断されたのはだいぶ経ってからのことで、
過労が原因ようでした。
若いころ競泳をやっていて人並み以上に無理の利く体だったので、
その体力遺産を担保に生き延びたのだろうと思っています。 
2度目の病気はそれから15年後。
指先の傷が癒らないので病院に行ったところ
即刻入院せよという宣告、
血糖値400、糖尿病で生命も保証できないということでした。
転職して、某夕刊紙の創刊から廃刊まで付き合って
心身ともにズタズタになっていたころのことです。
膵臓機能の低下と関係があるように思いましたが、
直接的には飲み過ぎでした。

            *

この樋口さんは文筆家であると共に、
無類の競馬通で、この約2カ月の
「長い入院生活でなんとしても辛かったのは、
馬券が買えなかったこと」だというのです。
 なんとも、痛快な闘病記ですが、
じつに読ませる内容です。
続きはまた明日。


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2007年7月24日(火)

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