元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1875回
十年一昔! ガンとインターネット活用

先日、明治薬科大学薬学部社会学研究室の
専任講師をなさっている
小松楠緒子さんから電話がありました。
「10月に出版する本に、関根さんの
『母はボケ 俺はガン』と『ガン患者よ、ドクハラと闘おう』
『こうすれば50歳から病気知らず』といった著書を
引用させてもらいたいのでよろしく」というのです。

小松さんとは面識はなかったのですが、
話を伺うと、インターネットの情報が
いかに患者の闘病と意識に影響するかといった
テーマの内容だそうでしたから、
僕自身、ガン病棟にノートパソコンを持ち込んで、
食道ガンの惨い手術を拒否し、
こうして足掛け9年延命してきた身ですから、
よろこんでお受けしました。

10月に入って、その本が送られてきました。
「コンピュータ社会における 人 生命 倫理と法」
という、ちょっと一般の読者には難しい専門研究書です。
はじめは、医療関係の専門書だと思っていたのですが、
中を読んで見ると、法律学者、弁護士、医師、そして、
小松さんのような社会学の先生など、
「法とコンピュータ学会」に属する
10人の執筆者によって書かれた共著本でした。

版元サイトの概説では
「実社会に不可欠な技術(Technology)となったコンピュータ。
情報のネットワークが世界を巡り、
新たな技術・発見が日々繰り返される現代を
「生命」、「倫理」といった医療、
ならびに法律の観点から
この分野を代表する研究者、実務家が執筆」というもので、
わかりやすくいうと、いのちを守るために、
いかに賢くコンピュータを活用していくか?
いかによりよいコンピュータ社会を作っていくか?
そうした問題を多角的に研究提案したものです。

小松さんは、この本のなかで、
「インターネットによる患者のエンパワメント――
患者主体の意思決定に向けて」というテーマを取り上げ、
僕のようなガンのみならず、
肝臓病、心臓病、また白血病にかかわる、
移植治療と、インターネットによる
情報活用の問題を取り上げています。

いまでこそ、ガンの患者さんやご家族が、簡便に
インターネットでガンの治療法などについて
調べる風潮になりましたが、
僕が、ガンになった9年前といえば、
やっとWINDOWS95のソフトが出来、
1キログラム級の軽量ノートパソコンが出来たばかりで、
ガン病棟にパソコンを持ち込んで
内外のインターネット医療サイトを検索し、
自分で治療選択を果たす患者とはめずらしいものでした。

おかげで、傲慢不遜といいますか、ドクハラといいますか、
説明責任など無用だとする主治医にも騙されずに
惨い手術を拒否して中途退院。
こうして「ガンを切らずに延命」できたわけで、
当時は「なんと無謀なヤツだ」「きっとお陀仏さ」と
周囲から呆れられもしたのですが、やっと10年近くたって、
こうして小松さんのような東大出の優秀な社会学者が、
「インターネットとガン」の係わり合いを客観的に分析し、
その功罪を見極めながら、
これからの情報社会の「いのちの創造」について
学会で発表してくれるようになったのですから、
ガン治療も十年一昔ですね。
僕は、感慨深く読ませていただきました。


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2007年10月15日(月)

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