元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1949回
「甘い話」には注意しよう

長寿難病社会や低金利時代には、
人間の欲望に付け入る詐欺商法といいますか、
「甘い話」があちこちに溢れています。
減量や健康、さらに病気快癒を努力せずに
薬や食品・器具で楽に簡単に達成したいという、
欲張りな願望が詐欺商法に入り込む隙を与えるのでしょうね。

とくに65歳以上が2500万人を超え、
定年退職者が急増する社会では、
悠々自適な第二の人生を目指そうという意欲に付け入って、
自費出版詐欺や海外のリゾート不動産詐欺も問題になっています。
社会保険庁の年金疑惑がニュースを賑わしていますが、
その逆手を取って、
「年金の払いすぎがあったので指定の口座に返金を」
などと要求する不審電話が続発。
職員を装った「年金詐欺」も
横行しているというのですから油断大敵です。

また高配当をうたって
健康食品の販売事業などのビジネス投資に誘い、
多くの消費者から金を集めて騙し取る詐欺事件も後を絶ちません。
もちろん、賢明なるHIQの読者のみなさんは、
それほど、楽して儲かる話はないことぐらい
分かっているでしょうから、
いわゆる「甘い話」や詐欺商法に引っかかることはないでしょう。

さて、急増するガン治療についても同じです。
別に、詐欺とはいいませんが「甘い話」が治療に多すぎます。
「甘い話」は、代替療法や健康食品商法ばかりではなく、
一般の手術や化学治療にもある・・・
ということにも注意しておきましょう。

先日も、僕の後輩のカメラマンが初期の食道ガンと診断され、
大学病院は「手術は簡単に済みます。切れば完治します」
と即手術をすすめたそうです。
これは、いまの「ガン標準治療」では常識な治療提案なわけですが、
食道ガンの手術とは、肋骨を押し開けて、
喉、脇、腹をいわば「三枚おろし」にし、
100人中80人は助からないといわれる
じつに、ダメージの大きな手術なのですね。

たしかに、外科医が食道を切るのは
難しい作業ではないのでしょう。
しかし、切られるほうの患者の全身に及ぼすダメージは
計り知れないものがあります。
僕の同世代の友人にGさんという、同じ時期に
食道ガンにかかり、僕は手術を拒否したのですが、
「手術すれば2週間でゴルフもできますよ」
と主治医の甘言を信じて、
10時間に及ぶ手術を受けたのですが、
予後、副作用と後遺症に悩まされ、
あごや口腔にガンが転移して、
4回も手術、全身2メートルに及ぶ手術の縫合痕を残して、
無念にも亡くなりました。

もちろん、食道ガンの手術を受けて、
予後2〜3年、
食物を食べるときの嚥下困難を克服しつつ
回復した友人も知っておりますが、
それは他人には話せないほどの苦労のすえに
患者自身が掴み取った「いのち」なのです。
いまのガン治療の問題は、とくに主治医となる外科医が、
「手術は簡単です。切ればガンは完治します」といって、
予後の後遺症や免疫力の低下などの詳しい説明をしないことです。

ですから、わが身はわが知恵で守る・・・
いろいろな詐欺商法などに向かい合う時の対応法と同じです。
ガンに係る治療情報は、
ただ医師や病院を頼りきりにするのではなく、
家族や友人、インターネットなどのネットワークを使って、
周到に治療選択に当たる、
いのちを掴み取る時代というわけです。

ちなみに「ガン治療、甘い話には注意しよう」というわけで、
いま発売中の「いのちの手帖」第4号では、
僕が「いのちに関わる“ちょっと渋い話”」という
35ページにわたるエッセイを書き下ろしていますので、
ぜひ読んでおいてください。
これからは「甘い話」より「渋い話」に耳を傾けて、
自分の治療設計、人生設計を積み重ねて行く時代だと思います。


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2007年12月28日(金)

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