元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第2110回
患者の「寂しさ」が分かる医師

高齢者激増による病院経営や医療制度の問題で、
難病を扱う病院が減ってくる。
「貧乏人は病院に来るな」とでもいうような
高齢者や難病患者をないがしろにした患者漂流の政策が
まかり通る、まさに「長寿病弱国」に
いまの日本は成り下がってしまった――,
心の冷たいマニュアル治療、
ガイドライン治療がまかり通っている――
どういうタイプの医師が信頼に足るか?
薬や病院選びより
これほどガンの患者にとって難しい問題はない――、
いま300万人と言われる
ガン患者が抱える最大の問題について
もう少し考えてみましょう。

では、患者にとって
「信頼に足る医師」とはどういう人をいうのか?
僕の主治医でホリスティック医療の草分けである
帯津良一院長は「それは患者の寂しさが分かる医師です」
と、はっきり答えてくれる、まさに良い先生でした。

帯津医師とて、患者が長蛇の列をなす
とても忙しい医師ですが、
いわゆるマニュアル方式の画像検査. 病理検査を
しっかりやった上で、少ない時間でも
その患者に寄り添った「.問診と視・触診. 」を欠かさず
親身になって「治療計画の相談」にのってくれる――、
まさに「患者の寂しさ」を分かってくれる先生だからこそ、
信頼を集めているのだと思います。
別に、西洋医学が正しいか、漢方療法がいいか?とか、
薬にエビデンスがあるか、ないか?といった、
機械マニュアル式のレベルではない、
本来の「いのちの高レベル」で患者に接してくれる――、
ここが帯津式ホリスティック医療の真髄だぁと
僕はいつも感謝しているわけです。

帯津医師も、二つの病院を掛け持ちし、
その合間に、患者を勇気付けると著作や講演活動で全国を回り、
その間隙を縫って、
新しいいのち学としての
統合的なホリスティック医学の勉強に、
イギリスやアメリカ、そして中国と出かけていきます。
よく、この忙しさの中で「患者の寂しさ」を理解して、
診療を続けておられるものだと、
いつも感心しているわけです。

先日も、毎年行かれているヨーロッパの学会に出られたようです。
ちょうど、拙著「大正霊戦記―大逆事件異聞 沖野岩三郎伝」という
ちょっと小難しい新刊など忙しくて読む暇もないだろうと思って、
新聞や雑誌の書評を同封して贈呈したのですが、
なんと、この飛行機の中でちゃんと読んだよ・・・
という手紙が返ってきたのです。
「拝復 先日はご著書をありがとうございました。
ちょうどベルギーでのホメオパシーの学会に
出かけるときにいただきましたので、
機内で読ませていただきました。
時代背景もさることながら、
生きるかなしみが強烈に描かれていて胸を打たれました。
いい本をありがとうございました。
沖野岩三郎さんをはじめ、ご本に登場する皆さんの
よいご供養になったのではないでしょうか?
ありがとうございました」

著書献本などしても、大抵が読まないで放り出してしまうか、
後書きを読んで「謝、貴書拝受」といった返信で
済ます人が多いわけで、
これはなかなか出来ないことです。
僕も贈られてきた本はすべて読んで感想を書くタイプですが、
はたして、忙しい医師が、担当患者の書いた本を読み、
その患者の心の襞にまで分け入って、
人間が抱く「さびしさ」や「悲しみ」まで分かろうとする・・・
こうした医師こそ信頼に足る「いのちの医師」であり、
まさに「他人の寂しさが分かる」素晴らしい人なのだなあと、
僕は改めて感動したわけです。


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2008年6月6日(金)

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