元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第2114回
若い医師は「生きる悲しみがわかる人」になって欲しい

「患者の寂しさが分かる医師」とは、
検査機器や化学薬ばかり血眼になる医師ではなく、
患者と医療従事者の信頼の統合=信頼のコミュニケーションに
腐心することを第一と考える医師だ――、
僕の敬愛する「患者の寂しさの分かる医師」=
帯津良一先生が、拙著「ガン延命学新書」や、
僕の構成した
帯津良一VS王振国対談」といった本で語っている、
患者の信頼にこたえる医師像についての話の続きです。

            *

●若い医師は「生きる悲しみがわかる人」になって欲しい――
手の施しようがないと宣告されて、
なぜ、よくここまで回復できたかといいますと、
抗ガン剤や、手術が良かったのかもしれませんけれど、
私は、患者と医師、患者と周囲の仲間たちのコミュニケーションが
良かったからだと思います。
いい人に巡り会ったのだと思います。
奥さんもすごくいい人です。非常に献身的です。
奥さんはガンを境にガラッと変わって、
まるで新婚の夫婦のように仲良く闘病を続けたというのです。
この患者さんにとっては、
新しい奥さんをもらったようなものですね。
このコミュニケーションが患者を活き活きさせたのです。

外科先生も、内科の先生も良かった。
お坊さんたちも支えてくれた。
お坊さんだから良いというのではなくて、
仲間として良かったのです。
だからこの中で自然治癒力が高まってきた。

こうして、すばらしく良くなった人たちを見てみますと、
なかなかはっきりとした共通項は出てこない。
一人一人のケースはまったく違うのですが、
いくつかの実例を経験してみると、
やはり、みんなそういう傾向はあります。
良いコミュニケーションに巡り会えた人達が良いようです。
患者さんとそれを取り巻くご家族、
そこがまず最低のコミュニケーションです。
ご家族のコミュニケーションは生まれたときから一緒ですけれど、
病気をということをきっかけに
良いもの変えていかなければならない。
友だちとの関係もそうです。
医療関係者ともそうです。
これらをエネルギーの高いものに変えていかなければいけません。

それを実現させるには、
なんとしても人間のお互いの良好な生命場、
信頼のコミュニケーションの場を作り上げていくことが必要です。
私も微力ながら、ホリスティック医学の理想に
一歩でも近づくために病院で作業を続けているわけですが、
多くの若い医師の先生方にも、
医療関係者にも、ぜひ考えていただきたい、
大切な心得といいますか、
メッセージを送らせていただきたいと思っています。

生きる悲しみのわかる人になって欲しいことです。
人は悲しくさみしい存在です。
生きるということそのものが悲しいのです。
患者さんと接する時も、
そのことを忘れないでもらいたいものです。
もちろん、若い時は、確立されている西洋医学を
しっかり学ぶことは大切です。
技術と知識は多い方が良いのです。
しかし一方で、エヴィデンスの取れているものだけが
総べてだと思ってはいけません。
偉大な生命の前では謙虚になり、
患者さんの為になりそうなことは
何でも積極的に取り組んでみること――
これをぜひ心して患者や家族のみなさんと
信頼の場を作ってほしい――、
新しい治療、新しい病院を
作り上げてもらいたいと願っております。

             *

“長寿病弱国”を迎えているいま、僕たちの発想も、
医療制度改革も「信頼の場」と言う視点から
根本的に見直さなければなりません。


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2008年6月10日(火)

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