旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第120回
チップをスマートに払えますか?

チップをスマートに支払うのは難しい。
たとえば枕チップは日本円にして100円から200円程度の国が多い。
しかし、そんな最低の金額だけを置いていたのでは、
日本人は画一的、能がないなどと思われます。
ガイドブックに書いてある相場は、あくまで相場でしかない。
たまの旅行で、同じホテルにまた来るとは限らないからいいのでは。
そんな考え方もあるかもしれませんが、
次に泊まる日本人もいるわけですし、
自分がまた来ることにならないとも限らない。
上手に使って手厚いサービスを受けると、
気持ちのいい旅行をすることもできるでしょう。

とはいえ、私もチップではいつも悩みます。
私たちの祖父母の世代、80歳前後の方たちの中には、
非常に上手なチップの使い方をされる人がいる。。
しかし、今では高級ホテルでさえチップが渡されることは稀になり、
私たちの社会から完全に消えてしまった感がある。
ですが、海を越えればチップの上手な使い方が求められるわけです。
達人の旅行記などで読んで頭では分かっているつもりでも、
その場で臨機応変に金額を考えなければならない。
しかも、国によって「相場」も違うものです。
同じ国に何度も行っていると慣れてきますが、
私のように行き先がバラバラだと混乱してきてしまいます。

ただ、チップには受けたサービスによる対価だけでなく、
自分の要望を叶えるための手段という側面があると思います。
受けたサービスによる対価という考え方は分かりやすい。
レストランで選んでくれたワインがとてもおいしかった、
料理を出したり下げたりするタイミングがよく気が利いていた、
そんないいサービスを受けたら相場より高めに、
普通だと感じたら相場に合わせて支払えばいい。

難しいのは自分の要望をかなえるための手段としての使い方です。
たとえばホテルのコンシェルジュにチップを渡して、
隠れ家的な人気があり、しかも安いレストランを紹介してもらう。
同じツアーを出している会社がいくつかあったときに、
その中から特に自分たちに合ったものを聞き出す。
そんなことは旅慣れていないとなかなかできないものです。
昔の日本人がそうだったように、結局は、
場数を踏んで慣れていくしかないのでしょうね。


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