旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第153回
交通手段を見直す時期!?

どうして、国内の割引運賃は値上がり傾向にあるのでしょうか。
2000年の航空法改正時以来、航空会社は割引運賃を次々に販売。
全日空の「超割」や「早割」などの運賃名もずいぶん浸透しました。
航空法が改正された当時、スカイマークエアラインズやエアドゥが
格安な普通運賃を引っさげて新規に就航したこともあり、
その対抗策として大手航空会社は、出発前日まで半額で乗れるなど、
格安な割引運賃を設定せざるを得ない事情があった。

それに、当時は大手が3社。日本航空と全日空に加え、
日本エアシステム(JAS)も存在。
羽田−札幌、福岡線などは4社が競合していました。当然、
航空会社間の顧客獲得競争は激しく、値段も安くなりやすかった。
しかし、その後、新興航空会社の人気はもうひとつ上がらず、
一方で大手はマイレージの魅力などもあり、利用者を確保。
そして、昨年10月から日本航空とJASは経営を統合。
事実上、国内路線は、JALグループと全日空の2社となり、
3社が競合していた頃に比べれば、競争の激しさは緩和された。
それが、今年の割引運賃値上がり傾向の一因になったわけです。

とはいえ、航空業界の顧客獲得競争は世界的に激化しており、
大手航空会社間の合併や吸収といった動きは、あちこちにある。
国内路線が弱かったJALが、ローカル路線を多く持つJASと
提携するのは、航空会社の戦略としてあり得るものでした。
強大な国内路線を持つ全日空に対抗するために、
必要な戦略だったのでしょう。
ただ、欧米で新興の格安航空会社が急激に需要を
伸ばしているのに比べ、日本の場合、新興航空会社の
路線はあまり増えていない。
羽田−九州、北海道の一部路線など、数えるほどしかありません。

羽田路線でいえば、滑走路の発着枠がいっぱいで新興航空会社が
思うように便数を増やせない。新しい路線も就航しにくい。
こうした新興航空会社に不利な状況が変わらなければ、
航空運賃は下がらないかもしれません。
2000年の航空法改正以来、「飛行機がおトクになった」と、
言ってきましたが、料金にこだわるならば、これからは、
JR(新幹線)が走っている区間では、飛行機とJRとの
両方をよく見比べて、交通手段を選ぶ必要があるといえます。


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