旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第159回
名古屋に行ってお金の使い方を学びましょう!?

九州で育ち、大阪の大学へ進み、
職業の関係で今は東京で暮らしています。
住んだ土地でずいぶんと旅行にも出かけました。
考えてみたら、日本国内で行ったことのない県は、
東北の一部と北海道だけでした。
東京で職を探しているときに、ある出版社の方に、
「いろんな土地で過ごした経験は将来必ず役に立つ」
と、言われたことがあります。
それが現実になったのかは分かりませんが、最近、
名古屋近辺の経済状態がいいと言われる所以が、
なんとなく分かる気がします。

大阪にいる頃、同じアパートに
名古屋出身の友人が住んでいました。
彼とは3年ほど親しくしたわけですが、
今、思い出すと彼のお金の使い方は徹底していました。
いわゆる生活費は切り詰めるだけ切り詰める。
気分次第で無駄な買い物をすることなどありませんし、
夕食は必ずアルバイト先の賄いですませる。
夜更かしするとお腹が空くからかは分かりませんが、
マージャンなどすることもなく早く就寝します。
借金して物を買うことなどありません。
借金といっても学生ですから、
合コンや遊びの約束があるときに、
友人や先輩からお金を借りるわけですが、
そういうことは一切しない。
手持ちのお金が不足しているなら、
お金を借りてまで付き合う必要はないと考える。
宵越しの金をもたず、気前よく使うのがいいと考える、
江戸っ子や九州男児とは対極の価値観かもしれません。
かといって、いわゆる堅物ではなく、付き合いもいい。
絶対にほしい物があると、
学生にはやや値が張るものでも、
アルバイト代を貯めて気前よく買ったりもします。

そういうお金の使い方は、景気のいい時代には
説得力を持たないかもしれない。
特に借金には敏感で、カードを使いたがらない。
たとえば景気のいい時代に、
皆がクレジットで買い物していても、現金主義を貫く。
おかげで、「意地でも現金で名古屋人」などと
揶揄されたりもしたわけです。
しかし、そういう経済観念は不景気の時代には強い。
一言でいえば、「お金を使うのに無理をしない」という
ことですから、不景気が長引くと説得力を持ってくる。
本人たちにとっては別に普段と変わりなくても、
周囲の見る目が違ってくる。
全体的に元気のない日本ですから、
相対的に名古屋近郊に活気があるように見えてくる。
街に元気が出てくると経済状態もよくなるという
好循環も生まれるわけです。
素人観測ながら、今の名古屋はそういう状況に見えます。
もちろんトヨタ自動車という今を輝く企業の影響も
大きいかもしれない。
しかし、トヨタ車の特徴である、
燃費の良さや故障の少なさなどの「経済性」も、
名古屋の土地柄と無縁ではないように思えるのは、
気のせいでしょうか。
明日から名古屋に出張です。
街の雰囲気を見るのが楽しみです。


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