第49回
タイムリミット150日の記録 その4
直営店かフランチャイズチェーンへの加盟か

松井さんのカフェ展開構想の動機は予想した通り、
大きな議論を巻きおこしました。
役員の大半が反対でした。
前例がない、カフェは多産多死型で
パパママストア型でないと無理だ。
松井さんが予想したとおりでした。

しかし専務の山田さんだけは賛成でした。
それは生え抜きの苦労人で財務を担当しています。
山田さんの意見は、本社1階の現状と
不動産としての損得からくる意見でした。
1階の地の利を活かして現金収入が見込める事業をやるのは
良いと云う意見でした。

しかし山田さんの賛成論にも条件がつけられました。
何の経験もない企業が
カフェの事業に参入するにはリスクがありすぎる。
カフェをやるなら大手のフランチャイズチェーンに
加盟した方が良いと云う事でした。

松井さんはこう答えました。
カフェの事業を計画した時、
自ら全てを開発する直営店として展開するか、
カフェのフランチャイズチェーンに加盟するか、
両方考えました。
確かにフランチャイズチェーンに加盟した方がリスクは少ない。
しかし当社にとってこのカフェ事業は
自らが全てのリスクを背負って、
自らの汗で成功させる事の方が
将来かならずメリットとして現われる。
それは「人材の育成」が出来るからだ。
どの企業でも創業時は1人か2人でスタートする
この創造の精神こそ、一番大切な経営資源だからと
松井さんは力説しました。

じっと聞いていた社長が最後に云いました。
「わかった、松井君と社員1名で
この事業の責任者になって進めなさい!!」


『事業創造は1人1坪から始まる』


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