第98回
人財をつくる その3
60日前 始めての部下は何と妻

岩崎さんの一言で元気になった松井さん。
家に帰って、自らが先頭に立ってお店のカウンターに入り、
電卓をたたき、モップを持って清掃する
初代の店長になる事を奥様に報告しました。
すると奥様は急に真剣な顔になってこう云いました。

「素晴らしいことだと思います。
そこでお願いがあります。
私を貴方の部下にして下さい。
昼のセルフサービスカフェのレジに立ちます。
若い頃マクドナルドで働いた事があります。
パート、アルバイトの中で一番職位の高い
“スター”までになりました。自信はあります。
お店の開店前にトレーニング出来るお店を
すぐに探して下さい」

この奥様の申し出に松井さんは心から感動しました。
そして感謝しました。
そしてテレながら松井さんは奥様に質問しました。
「君がマクドナルドで働いた事があるなんて始めて知った。
ところでその“スター”ってどう云う意味、
まさか人気物じゃないよね」

奥様は笑いながら“スター”と云うのは
パート・アルバイトを教育する責任者で
赤いブレザーを着てフロアに立っていて、
店長をアシストする職位である事を説明してくれました。

そしてもう古くなったテキストですが
奥様が使っていたマクドナルドのマニュアルを
松井さんに見せてくれました。
(マニュアルはマクドナルドを辞める時、
すべて返却しなければなりませんが、
奥様はなぜかその一部を記念に持っていたのです。
マクドナルドさん、ごめんなさい)

マクドナルドのマニュアルを見た松井さん
目からウロコです。
職位コンセプトによって
パート、アルバイトは自らの能力が
正しく評価されるように作成されています。
評価する方も正しく評価されて昇進したのですから、
教える事も正しく教える事ができます。

実はこの「教える事」がキチンと出来なくて、
多くのパート、アルバイトの人がやめていきます。
やめる原因の80%が人間関係と云われてますが、
この人間関係を壊す本当の原因は
仕事のコーチングの仕方にあるのです。


『部下は上司の云った通りに行わない
上司のやった通りを行う』


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