第117回
感動の開店 その時松井さんは その2
7日前 店は劇場 デコレーターが見せ場をつくる

一般に内装工事の代金の支払いは
契約時3分の1、中間で3分の1、工事引渡時3分の1
と云うのが多く見られます。
前回、四本さんが発見したダメ工事の箇所を直し終えてから
6分の1の残金を支払うと云うのは
終了時に支払う予定の3分の1を
半分にしたと云う事です。

この6分の1と云う数字は、
内装工事会社の粗利益率に匹敵するのです。
ダメ工事だった箇所を
真剣に誠意を持って直さなければ
この代金を支払ってもらえないのです。

今日は店に使う、消耗品、什器、食器、調理用具などが搬入され
「荷ほどき、洗い出し」と云う作業を行います。
パートタイマー、アルバイトの人達が
始めてカウンターに入り初仕事をします。
自己紹介が終わり、芝さんが作った棚割り表を元に
整理、片づけ作業が進められます。

夕方になってようやく全ての洗い出しが終わりました。
そして清掃会社が入って、改めて、
床、タイル、照明器具などが磨かれ、
店は見違える様なりっぱな全容を現わしました。
看板の照明も入り、ピカピカに磨かれたガラスを通して
店の前を通る人々が皆のぞき込んで行きます。
松井さん心の内から感動が込み上げて来ました。
「ようやく店が出来た。絶対成功して見せる」
隣りにいた奥様の顔も上気している様です。

午後7時に若い女性が3人、
そして観葉植物を扱っている会社の人達が
お店を訪れました。
若い女性達は「デコレーター」と云って
店のコンセプトに合う、絵画、レリーフ、
置き物などを自製、仕入をし、
店の雰囲気づくりをしてもらいます。
観葉植物もデコレーションの1つです。
デコレーターに払った費用の半分が
自製、仕入れていただく商品に費やされ、
残り半分が人件費になります。

松井さんがお店のデコレーションの為に
用意した予算は50万円でした。
しかしこのプロフェッショナルな人達による
劇場作りの演出は50万円以上の
見事なものを創り出してくれました。
内装費が足りない時は、
このデコレーターが活躍します。


『絵をかける高さの良し悪しは
その店の全てを物語る』


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