弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第28回
刑事と民事はどう違うか

刑事の裁判と民事の裁判は全く違います。
民事裁判は、お金の支払いや
土地の明渡しなどを求める裁判で、
その請求権があるかどうかを
裁判所に判断してもらう手続です。
即ち、個人や会社が個人や会社に対し
自分の請求権があるかないかについて争うのが
民事裁判なのです。

これに対し、刑事裁判は
個人(たまに会社)が犯罪を行ったか、
行った場合に刑はどれくらいかということを
裁判所に判断してもらう手続です。

刑事裁判は、必ず国(検察官)対個人となります。
ドラマでは圧倒的に刑事裁判が取り上げられますが、
実際には民事裁判の数の方が圧倒的に多く、
日本の弁護士は
取り扱っている事件のほとんどが民事裁判です。

ドラマの刑事事件は、
被告人が無罪を主張し(否認事件)、
無罪となるケースが多いですが、
現実の刑事事件では
被告人が全て罪を認めていて(自白事件)、
執行猶予をつけるか、
刑を何年にするかを決めるための裁判がほとんどです。

現実の社会で、ドラマのように、
無実の被告人が逮捕され
長時間勾留されるようなことがたくさんあったら、
大変なことです。
日本の警察や検察は、例外はありますが、
かなり信頼できると思っています。

逆に民事裁判になるような事件は、
お互いに相手の請求を認めない事件(否認事件)が多く、
どちらの言うことが正しいか争うケースがほとんどです。

その結果、刑事事件は初回で審理を終え、
2回目で判決して終わる事件が多いのに対し、
民事事件は、半年から1年かかるケースがほとんどです。

刑事事件というと、
新聞やニュースで判決までに
何年もかかったと報道されていることから、
何年もかかると考えている人も多いでしょうが、
実際は起訴されてから
2ヶ月くらいで終わってしまう事件が大部分なのです。

民事事件も新聞で取り上げられる難しい事件は
何年もかかるケースもありますが、
最近の民事訴訟はかなり迅速化しています。
僕が弁護士になったころは、
1審で1年から1年6ヶ月くらいと言われていましたが、
今では通常事件は
半年から1年くらいで決着することが多くなりました。


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