弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第44回
訴訟に勝つための作戦集1−自分に有利な裁判所を選ぶ

裁判をどこでやるかという問題を管轄と言います。
訴訟は、裁判をどこでやるかという管轄の問題から
戦いが始まっています。
自分に有利な裁判所で裁判ができるかということも
訴訟のポイントなのです。

東京と大阪の人が争う場合に、
裁判はどこでやった方が有利でしょうか?
東京の人が大阪で裁判をする場合には、
大阪へ行かなければなりません。

東京の人は、
その時間と交通費等の費用を大阪の人よりも
余計に負担することとなります。
訴訟を依頼する弁護士も、
東京の人であれば
東京に知り合いの弁護士がいるはずです。

だからと言って、
東京の弁護士に依頼すると、
東京の弁護士が大阪に行く日当と交通費を
負担しなければなりません。

大阪の弁護士に依頼するとすれば、
大阪の弁護士を探さなければなりません。
また、依頼した後の打ち合わせを
大阪に行って行わなければなりません。

このように、費用・労力のことを考えると、
東京の人にとっては、
東京で裁判をやった方が有利で、
大阪の人にとっては、
大阪で裁判をやった方が有利となります。

そこで、どこで裁判をやるか
という管轄が重要になってきます。
管轄は、訴訟を起こす原告が
一次的に選択権を持っていますから、
複数の場所で訴訟を起こせる場合には、
自分が有利になる場所で
訴訟を起こしてもらうようにしましょう。

管轄は、被告(相手)の住所地だけではありません。
お金を請求する場合は
原告の住所地でも裁判ができることも多いですし、
相手となる会社の本店が大阪でも、
営業所が東京にあれば
東京で裁判ができる場合があります。

弁護士によっては、
遠方の裁判所に行く場合には
依頼者に対し日当や交通費を請求できることから、
遠方の裁判所で裁判をすることを
気にしない人もいるようです。


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