弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第46回
訴訟に勝つための作戦集3−請求額が多い方がよいか?

一般に、訴訟を起こすときには、
請求金額を多くした方が、
相手方にプレッシャーを与えることにもなるし、
解決も有利になることが多いです。

なぜ、請求額が多い方が
解決するときに有利になるかというと、
通常の交渉と同じように、訴訟でも、
法律上は2000万円請求できるのだけれど、
1000万円に負けてあげるとした方が、
最初から1000万円請求しているよりは、
1000万円で解決しやすいからです。

しかし、請求額を多くすれば
いいというものではありません。
例えば、1000万円しか貸していないのに、
2000万円を返せと主張することはできません。

よくあるのは、相手方に損害賠償請求する際に
慰謝料の額を大きくして訴訟を起こすという方法です。
事故などでけがをした場合に、
多額の慰謝料を請求する場合があります。
ちなみに、慰謝料は1ヶ月の入院でも約50万円くらいです。

これを、相手を懲らしめるために、
あるいは交渉を有利にするために
1000万円請求する訴訟を起こしたとしても、
あまりにも裁判で認められる金額とかけ離れていますから、
あまり相手にプレッシャーを与えませんし、
かえって、裁判所に事故にかこつけて
お金をたくさん取ろうとしている信頼のできない人と思われ、
他の部分で通る主張や請求までも
認められなくなってしまう可能性があります。

それから、請求額を大きくする場合に
注意しなければならないのは、弁護士費用です。

弁護士費用は請求金額によって決まりますから
(僕のホームページの弁護士費用を参照してください)
1000万円請求する場合と
2000万円請求する場合とでは、
請求額が2倍となりますから
弁護士費用も2倍となります。
裁判所に支払う印紙も大体2倍になります。

請求金額を大きくする場合には、
法律上の理屈がきちんとつくのか、
弁護士費用がどうなるのか、
よく弁護士と相談してからやらないと、
弁護士費用は多く取られ、
裁判官や相手方には
不当な請求として相手にされない
というひどいことになってしまいます。


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