弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第48回
裁判と勝負事

裁判は、勝ち負けがありますから、
勝負事の一種です。
裁判も囲碁や将棋、
トランプや麻雀と同じ面があります。

弁護士は、依頼者から、
裁判になっている事実関係を聞いて、
裁判では、こちらがこう主張したら、
相手はこう反論するだろう。
それに対しては、こう主張する。
というように、相手の手を読んで、
裁判の見通しを予測して、
どのような主張をして行けば
裁判を有利に進められるか作戦を立てます。

囲碁や将棋をやられる方は、
同じだと思われるのではないでしょうか?
でも、僕は、裁判は囲碁や将棋よりは、
ポーカーなどのトランプや麻雀に似ていると思います。

というのは、囲碁や将棋は、最初の状態では、
プレーヤー同士の戦力は平等です。
ということは、
能力が高い方が勝つ可能性が高いのです。
ところが、裁判は、事実関係により、
最初から有利不利があります。
スタートの時点で差があるのです。
そういう面では、トランプや麻雀に似ています。

トランプや麻雀では、
最初は相手がどのようなカードや
牌を持っているのかわからず、
相手の出したカードや牌から
相手が何を考えているのかなどを
推測しながら進める点も裁判と似ています。

トランプや麻雀では、いくら強い人でも、
相手によいカードやよい牌が行ってしまったら、
そのゲームは勝てません。
トランプや麻雀で、
自分のカードや牌が悪いときにはどうするかというと、
負けを最小限にしようとします。

裁判でも同じで、
弁護士がいくら優秀でも負ける見込みの高い事案では、
なかなか勝つのは難しいですから、
いかに負けを少なくするかということを考えます。

ただ、トランプや麻雀でも、
負ける見込みの高いゲームで、
一か八かに賭けて勝負をし、
勝つケースがあるように、
裁判でも、負ける見込みが高い事案でも勝負をし、
勝てる場合があります。

でも、裁判では、
土壇場になって切り札が出たりすることはあまりなく、
相手も、裁判官も一定以上の能力を持っているので
負ける見込みの勝負をひっくり返すのは大変です。

裁判で負けたときは、
ゲームで負けるよりも、
費用や労力といった経済的にも打撃は大きいし、
精神的にもショックも大きいと思われます。
そのことをよく踏まえた上で、
弁護士と相談して方針を決めることが必要です。


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