弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第50回
訴訟に勝つための作戦集6−録音

裁判は、過去の事実を証明しなければ勝てません。
しかし、過去の事実を証明することは
かなり難しいことです。
みなさんは、昨日、
誰と何を話したか証明できますか?
証明するにはどうしますか?

誰と何を話したかを証明するためには、
普通は、その人にどういう話をしていたか
証言してもらうということを考えると思います。
では、その話した相手が敵だったとしたら、
相手はみなさんと話した内容を
証明してくれるでしょうか?

会社間の取引でも、
セールスマンが消費者に物を売るときでも、
営業担当者は、
契約以上にサービスするようなことを言いがちです。
「最初の説明とは違った」
というトラブルはたくさんあります。
訴訟になると最初の説明で
営業担当者が何と言ったか
証明しなければなりません。

普通の人は裁判になれば、
相手が正直に話すと思っている方が多いのですが、
敵になったら、
正直に話してくれない方が普通です。

そこで、後から証明できるように、
契約するときに営業担当者から
一筆書いてもらうのが一番です。
でも、契約を結ぶときには、
後でトラブルが発生しないと思うから
契約を結ぶのであって、
相手を信頼していることから、
一筆書いてもらうことまでする人はあまりいません。

そこでどうするかと言うと、
トラブルの最初に会話の模様を録音するのです。
相手も客商売です。
最初は穏便に済まそうとします。
裁判になったら認めない可能性がありますが、
トラブルの最初に文句を言ったくらいのときには
認める可能性はあります。

トラブルの相談を受けていると、
最初は相手も自分の責任を認めていたのに、
だんだん話し合いで解決できない雰囲気になってくると、
そんなことを言っていないと
自分の責任を否定するようになるケースが結構あります。
そのようなケースでは、
録音をしておくというのは
有効な手段となります。


←前回記事へ 2004年2月19日(木) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ