弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第52回
訴訟に勝つための作戦集8−相手の同意のない録音は違法か

相手との会話を
相手に無断で録音することは、
盗聴で許されないのではないか?
などという質問を受けることがあります。

会話の当事者が、
後でどのようなことを言ったのか
トラブルになったときの証拠とするために録音することは、
盗聴でもなく、自衛手段の一種として、
特に法律上問題とされることはありません。

即ち、相手に無断で録音したこと自体について、
犯罪が成立したり、
損害賠償請求されたりすることがないのです。

それでは、相手に無断で録音したものを
証拠として提出することは許されるでしょうか?

これも、法律上、特に制限はなく、
訴訟において証拠として提出することも認められます。

過去の裁判例で、
会社から退職強要をされていた会社員が
後で退職強要の証拠として利用するために
相手の同意を得ないで録音したケースで、
この録音テープを証拠として採用してよいのか
争われたものがあります。

裁判所は、
職場という密室で行われた行為を
証拠として残す手段としては
録音が有効かつ簡単な手段であり、
録音という方法を否定すると、かえって、
違法行為をやってしまった方が得する結果となり
社会正義に反するという理由から、
相手の同意を得ていない録音テープを
証拠として採用することを認めました。

このように、相手の同意を得なくても
後日のトラブルに備えて、
自分と相手との会話などを録音することは
法律上許されているのです。

だから、トラブルになりそうなときに、
会話を録音することを覚えておいてください。
役に立つかもしれません。

ただ、相手と第三者の会話・電話などの録音は、
盗聴に当たる可能性がありますし、
法律上許されない可能性が高いです。

犯罪が成立する可能性もありますし、
プライバシーなどの侵害を理由として
損害賠償の対象となるかもしれません。
もちろん、証拠として提出することも
認められない可能性があります。
気をつけてください。


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