弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第98回
判決は聞きに言った方がよいか

裁判で判決になった場合に、
よく聞かれる質問が
「判決は聞きに言った方がよいか」というものです。

答えは、
「民事裁判の場合、
 判決は聞きに行く必要はありません。」です。

刑事裁判の場合、法廷で、
被告人に対し、判決の結論及び理由を
言わなければならないこととなっています。

しかし、民事裁判の場合には、
法律上、判決の際に当事者が立ち会わなければならない
ということにはなっていません。

それに、判決を聞きに言っても、
裁判官は、結論しか言いません。
法律上、判決の結論だけを法廷で言えば
よいこととなっているからです。

そして、結論だけであれば、
判決言い渡し時間が経過した後に、
裁判所に電話をすると、教えてもらえるのです。

わざわざ法廷に行っても、
結論の一言しか言ってくれず、
その結論は電話でも教えてくれるのです。

だから、民事裁判では、
マスコミが注目しているような事件でない限り、
判決を聞きに行きません。

判決の結論及び理由も書いてある判決書は、
裁判所が弁護士のところに送ってくれます。
弁護士が取りに行くこともできます。

判決を聞きに行かない理由は、
聞きに行く労力を省く以外にもあります。

判決で負けた場合は、控訴できます。
この控訴期間は、判決を受け取ってから
2週間以内です。

判決を聞きに行ったら、負けていて、
その場で判決を渡されてしまうと、
そこから2週間となります
(注:起算点は判決受領日の翌日となります)。

2週間というのは結構短いので、
負けそうな事件では、判決を聞きに行かず、
判決書を受け取るのを少し遅くして、
控訴するかどうか決めるのに、
時間稼ぎをするという意味もあるのです。

そういう理由から、民事裁判では、
判決を聞きに裁判所に行くことはありません。


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