弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第100回
判決で負けてしまったら

一審判決で負けてしまったら、
別の裁判所でもう一度争い
判断してもらうことができます。
これを控訴と言います。

一審が地方裁判所であれば、
二審の控訴審は高等裁判所です。
一審が簡易裁判所の場合は、
二審の控訴審は地方裁判所になります。

地方裁判所はどの都道府県にもありますが、
高等裁判所は、東京、大阪、名古屋、札幌、
仙台、広島、高松、福岡
という大都市にしかありません。

控訴期間は、
判決を受け取ってから2週間以内となります。

一審での判決理由を見て、
相手はどういう理由で勝ったのか、
一審でこちらが強く主張した部分は
どう判断されているのか、
一審の判断はおかしくないか、
二審で、新たな証拠を提出する余地はあるのか、
二審で争った場合
ひっくり返る見込みはあるのかなどを、
弁護士の見通しも踏まえ、
控訴するかどうか判断しましょう。

控訴期間を一日でも経過してしまうと、
判決は確定してしまいます。
控訴する場合には時間的に余裕を見て、
控訴することを依頼しましょう。

控訴審は、第一審の裁判所に
控訴状を提出することとなっています。
第一審の裁判所が、
依頼している弁護士の事務所から遠い場合には、
郵送で控訴の申立をすることになりますから、
郵送で申立をする日数を考える必要があります。

控訴する場合、
裁判所に納める印紙代は
一審のときの1.5倍となります。
1000万円の請求の場合、
一審の印紙代は5万7600円ですが、
控訴審では8万6400円となります。

弁護士費用については、
弁護士報酬が自由化されたので、
最初に依頼をするときに、
控訴審は別に費用を支払うのか、
全部込みなのか決めておく必要があります。

これまでの報酬規程では、
一審と控訴審は別となっていました。

一審で敗訴判決が出た場合、
控訴して結論がひっくり返る見込みがあるか、
控訴する場合にはいくらかかるのかを考慮して
控訴するかどうかを短期間で決める必要があります。

敗訴判決を前提として
和解を希望する場合には、
控訴して判決を確定させない方がいいです。

被告で敗訴した場合には、
前回説明した仮執行宣言に基づく強制執行を
止める手続きをするのかどうかも
決めなければなりません。

担保を積んで強制執行を止めるには、
判決の金額の8割くらい、
即ち、1000万円の請求を止めるには
800万円くらいを用意する必要があります。


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