弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第1回
訴訟社会到来!?

「訴えてやる」という
テレビ番組の影響ではないと思いますが、
訴訟が増えています。
「訴える」人が増えるということは、
当然「訴えられる」人も増えています。

訴訟がどれくらい増えていると思いますか?
最高裁判所の司法統計によると、
僕が弁護士になった平成6年時点では、
民事・行政事件が約240万件、
家事事件が約40万件で、合計280万件でした。

ところが、昨年(平成14年)は、
民事・行政事件が約330万件、
家事事件が約64万件と合計で
400万件近くに増えているのです。

ここで、民事・行政事件は貸したお金を
返して欲しいという訴訟や
事故が起きた場合の損害賠償請求などです。
家事事件は、離婚や相続に関するものです。

どうして、こんなに訴訟が増えているのかというと、
よく言われるように、価値観が多様化し、
なかなか話し合いでは解決が付かなくなったからです。

日本人は、同じ民族が、狭い国土で、
同じような教育を受け
個性よりも全体を重んじて生活をしてきました。
それが良いか悪いかは別として、
みな同じ考え方で生きている場合、
善悪に対する考え方も同じですから、
紛争の解決に対する考え方も同じわけです。
だから、「話せばわかる」ということになるのです。

しかし、現代社会は、個性の時代であり、
自己主張の時代です。
寄って立つ考え方が違えば、
善悪に対する考え方も違うわけですから、
いくら話しても歩みよりはできないわけです。
要するに、「話してもわからない」のです。

そこで、紛争を解決するには、
法律に照らしてどちらが正しいかを決着する
訴訟という手段を取る他ないのです。

現代は、古い価値観と新しい価値観が
入れ替わるときでもありますから、
ますます訴訟が増えてきます。
でも、日本では、訴訟は、
「裁判沙汰」と言って嫌われてきたため、
訴訟に関する知識を持たない人も多いです。

そこで、突然訴えられて、右往左往しないように、
「訴えられたらどうする?」を
説明していきたいと思います。

2004年9月30日(木)更新
- このコラムは連載終了いたしました -

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■高島 秀行 (たかしま・ひでゆき)
弁護士 第一東京弁護士会所属 
昭和40年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、平成6年4月に弁護士登録。現在、渡辺・高島法律事務所経営。著書に『企業のための民暴撃退マニュアル』『Q&A改正派遣法早わかり』『相続・遺産分割する前に読む本』(以上、税務経理協会)などがあり、頭で儲ける時代「起業家のための法律相談」(あいであらいふ)など各種雑誌でも連載執筆中。

■高島秀行さんへのメールはこちらまで: takashima@9393.co.jp


 
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