弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第21回
不動産購入が相続税対策になると言われる理由

前回、不動産は、
相続税を計算する際に、市場価格ではなく、
それよりも一般的に低い路線価で評価されることが
「不動産購入が相続税対策になる」
といわれる理由だということを説明しました。

その他にも、相続税の点で、
現金よりも不動産の方が有利な点があります。
それは、不動産が住宅や事業に使われていた場合には、
その宅地等の評価額の一定割合を減額する
という特例があることです。

相続税と言うと、高い相続税が払えなくて、
家を売った、あるいは家を物納した
という話を思い出すのではないでしょうか?

しかし、日本の相続税法は、
基礎控除と同様に、
相続税のために、これまで住んでいた家を売らずに済む、
あるいは事業を営んで来た土地を手放さないで済むように、
一定限度の特例を設けています。
この特例を小規模宅地等の特例と言います。

この特例の要件を満たした場合には、
路線価で計算した評価額の50%
あるいは80%を減額することができます。

前回の市場価格1億円、
路線価評価8000万円の例で言えば、
4000万円あるいは1600万円と評価されるのです。
現金や預金で1億円を残すのと比較して、
不動産で残す方が有利だということが
おわかりなると思います。

その他にも、土地が相続財産の場合、
借地権が設定してあったり、
その土地が有効利用できなかったりする場合には、
評価を下げることができたりします。

以上説明したとおり、
現金と比べて、不動産の場合は
相続税を計算する上で評価する際に
特例が設けられていることから、
不動産購入が相続税対策になると言われているのです。

最後に、質問への回答ですが、
あなたにとって、マンションを建てることが
相続税対策になるかは、
あなたの資産と負債がどういうもので
どれくらいあるか、相続人は誰なのかなど、
具体的な事情がわからなければ、
回答できません。
どうしても気になる場合には、
具体的な資料を持って
税理士さんに計算してもらったらよいと思います。


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2004年12月21日(火)

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