弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第148回
お金を返してもらうのは難しい

前回、税金や社会保険料の徴収に
多額の費用がかかっているという話しをしました。
誰でも、税金などは払いたくないので、
そこからお金を取るのはなかなか難しいということはあります。
でも、税金などは、法律で、かなりその回収(徴収)が
簡単にできるように優遇されています。
税金は、一般の人の貸金や売掛金などに
優先することとなっています。
しかも、税務署は、その人の預金などお金の流れを
調査する権限があります。
税金は、破産したとしても、免れられません。
これに対し、一般の人や会社が、自分の貸したお金や
売掛金を回収することはなかなか難しいです。
まず、相手が任意に支払わなければ、裁判をしなければなりません
契約書や念書、納品書などの証拠がなければ、
裁判で負けてしまうかもしれません。

裁判で勝って、裁判所が相手方にお金を払えという判決を
出してくれたとしても、
相手が任意に支払わなければ財産を
差し押さえなければ回収できません。
相手の勤務先などがわかっていれば、
給料を差し押さえることができますが、
相手がどこに預金を持っているか、
どういう財産を持っているのかは、
税務署と違ってなかなか調査することができません。

ただし、最近法律(民事執行法)が変わって、
裁判所を通して相手方にどういう財産を持っているか
聞くことができる制度ができました。
それでも、相手方が財産を持っていない場合には、
何も差し押さえることができないわけです。

しかも、相手が破産してしまうと、税金と違って、
一般の人や会社の貸金や売掛金は、
原則免除されてしまうこととなっています。
相手によりますが、このように一度自分から出てしまった
お金を取り戻すことは難しいのです。
だから、お金を貸す、代金後払いで物を売る、
利益が出ると聞いてお金を出資するなどのときには、
十分そのことを考えて、お金を出すようにしてください。


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2006年4月18日(火)

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