弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第153回
景気は良くなっているのか?

弁護士のところに来る
法律相談の内容は、
みなさんが抱えている
トラブルの反映なので、
そのときの経済状況や
社会状況によって変わってきます。

みなさんの相談内容を見ても、
世の中景気がよくなったのかなと
思うことがあります。

それは、会社でも個人でも
破産や民事再生などの
借金の整理の相談が
最近は減少しているからです。

バブル崩壊後、
個人や会社の借金の整理の相談は、
かなり増加して、裁判所も、
その処理能力を高めるために、
破産の手続を変えたほどです。
裁判所が、破産手続を簡易なものにし、
短期間で多数の破産手続を
行なえるようにしたおかげで、
多くの過剰な債務を抱えている人や
会社が、破産手続をし、
借金の整理をしました。

借金の整理の相談が減少したのは、
そのせいで、
もう借金の整理の必要がある人や
会社は大方、
借金の整理をしてしまった
ということかもしれません。

国や地方自治体が
闇金の対策を取ったのも、
大きな原因かもしれません。
一時は、借金の整理の相談には、
闇金から脅されている
という相談が付き物でしたが、
最近の借金の整理の相談では、
闇金はほとんどありません。

バブル崩壊後、
借りている方からすると「過剰債務」、
逆に、貸している方からすれば
「不良債権」の処理問題が
景気悪化の原因だと言われてきましたが、
これらの問題は、
だいぶ解決してきたのかもしれません。
ただ、これは、マイナスの状況から、
ニュートラルの状況になった
ということであって、
ここからプラスになって行くのか
どうかは、わかりません。

でも、経済においては、
リスクを取らないと
リターンは得られないわけで、
これまでは
リスクを取る余裕がなかったのが、
リスクを取れるようになった
ということは、
プラスになっていく可能性が出てきた
ということだと思います。
もちろん、リスクを取る
ということですから、
失敗すれば、マイナスになります。


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2006年5月9日(火)

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