弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第159
ファンドの危険性

前回、ファンドは
株価を上げて利益を得るために
株式を購入しているのだから、
基本的には、株価が下がるような
無茶な経営はしないだろう
という話をしました。

しかし、ファンドは、
定期的にその運用成績を
投資家に対し
報告しなければならないことから、
短期的な成果を求める
経営方針を取る可能性があります。

例えば、
取りあえず、事業には必要のない
現金・預金や不動産などの
遊休資産がある場合に、
これらを換金して
配当に回すよう求めることがあります。
ファンドを含む株主にとって、
株価にこれらが
反映されていなければ、
配当だけで、相当な利回りを
得られることになりますし、
株価も一時的に上昇するかもしれません。

しかし、これは過去の貯蓄を
取り崩しただけなので、
そのような施策は、
一回的なものであって、
継続的に行なうことができません。
経済情勢の変動や事故など
万が一のことが起きた場合には、
対応する余力がなくなってしまいます。

また、利益を一時的に上げるために、
将来への投資である
試験研究費やその他の経費を
思い切って削ってしまうことも考えられます。
これらは、短期的には
株主の利益になるけれども
長期的に利益は
見込めなくなる可能性があり、
どちらが会社や
株主にとってよいのか難しい問題です。

ただ、一般的に、
株主は短期的な利益を求めがちで、
ファンドばかりが
短期的な利益を求めるわけではありません。
また、創業家経営者は別として、
一般に会社の経営者は、
自分が経営者であるときさえ良ければ
それでよいと考えて、
短期的な視点から経営をしがちです。
そう考えると、
ファンドだけが会社にとって
危険だとは言えない気がします。

株主にファンドが入って、
経営者とどうしたらより利益が上がるか
徹底的に議論をしてもらい、
緊張関係を持って
経営をされた方が
良い経営になるような感じがしますが
みなさんはどう考えますか?


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2006年5月30日(火)

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