弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第180回
先物取引の再勧誘は禁止

前回、商品先物取引はもともと
事業者のリスクヘッジのために設けられた
ハイリスクハイリターンの制度にもかかわらず、
事業者よりも市場への参加者は
一般人が多いという話をしました。
その理由は、先物取引が事業者などの
実需家の取引が少なく、
単に投資の対象として
利用されているということだと推測されます。

先物取引が、投資家自らの意思で
自発的に行なわれているのであれば、
市場の不健全性
ということはあるかもしれませんが、
仕方がないことだと思います。

しかし、これまで、
先物取引業者の執拗な勧誘により
先物取引に関する知識も経験もない
一般人が先物取引投資を
始めることも多かったようです。
営業電話に対し、
きっぱりと断ることに慣れている
弁護士の僕のところにも、
以前は、しつこく電話をしてくる
会社がありましたから、
なかなかはっきりと断れない方に対しては、
相当執拗に勧誘の電話が
かかってきていたと思われます。

そういうこともあって、
商品取引所法という法律が改正され、
平成17年5月1日から、
商品先物取引の営業は
勧誘して一度断られたら、
再度勧誘をすることは禁止されました。

そこで、以前と比べて、
商品先物取引の勧誘の電話が、
めっきり少なくなったのです。
商品先物取引の営業・勧誘では、
(1)儲かると説明すること
(2)勝手に売買してしまうこと
(3)職場や自宅に長時間居座るなど迷惑をかける方法を取ること
(4)知識・経験・資力のない顧客と取引すること
などが禁止されています。
これらの営業がなされて
先物取引を始めさせられてしまったという方は、
すぐに取引を止めて
清算してもらった方がよいでしょう。
これを「手仕舞い」と言います。
損害が出た場合には、
損害賠償請求できる可能性があります。


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2006年8月10日(木)

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